2012 Fiscal Year Research-status Report
分子の運動性を利用した2次元核磁気共鳴法の開発と実材料への応用
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24750008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大窪 貴洋 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50534541)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴 / 緩和時間 / 自己拡散係数 / 二次元核磁気共鳴法 / 2次元ラプラス逆変換 / 特異値分解 |
Research Abstract |
核スピンの運動を反映する縦緩和時間(T1)、横緩和時間(T2)および自己拡散係数(D)を軸した多核磁気共鳴法の開発を目的に、パルスシーケンスの作成および解析に必要な多次元ラプラス逆変換処理のプログラム開発を行った。本年度は、永久磁石(0.5T)を用いた核磁気共鳴装置でT1-T2およびT1-Dの相関スペクトルを得ることを目的に、パルスシーケンスの作成を行った。T1-T2スペクトルの測定は、反転回復法でエンコードした磁化にCarr Purcell Meiboom Gill(CPMG)法によりエコートレインで信号をサンプリングするシーケンスを作成した。ここで反転回復法での回復時間(tau1)とCPMG法でのエコー時間(tau2)をパラメータとして、2次元データを得る。T1-Dの測定シーケンスは、反転回復法でエンコードした磁化にPulse Gradient Spin Echo(PGSE)法で信号をサンプリングする。ここで回復時間tau1とPGSE法で印加する磁場勾配強度gをパラメータとして2次元データを得る。 多次元ラプラス逆変換処理のプログラム開発として、観測した二次元データを指定したT1, T2およびT2空間で分配する行列(カーネルK)を生成しKの特異値分解によってデータ圧縮し1次元のラプラス逆処理を行うプログラムを開発した。ここで、圧縮した1次元のラプラス逆処理はButler-Reeds-Dawson(BRD)法により行うことで、従来のCONTIN法のような解の2次微分を行って繰り返し計算で求める処理よりも実効速度が5倍程度早くなることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パルスシーケンスの開発および二次元ラプラス逆変換プログラムを作成を終えることができたた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は作成したパルスシーケンスを実材料に応用する。予定として、セメント系材料を中心に水和反応で生じる空隙構造解析をターゲットとし、T1-T2およびT2-D等のパルスシーケンスを用いて実験を行う。また開発したプログラムの性能評価として、測定データのノイズやサンプリング点での2次元ラプラス逆変換の解の影響等の評価をモデルデータを使ったシミュレーションから評価し、実用的なプログラムになるよう開発を続ける。また汎用プログラムとしての配布を目的に、C言語でプログラムを書き直す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデル資料のサンプル調整に必要な試薬や消耗品として1300千円を国内の学会参加費として200千円を旅費として計上する。
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Research Products
(2 results)