2013 Fiscal Year Research-status Report
分子の運動性を利用した2次元核磁気共鳴法の開発と実材料への応用
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24750008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大窪 貴洋 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50534541)
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Keywords | 2次元逆ラプラス変換 / 核磁気共鳴 / 緩和時間 / セメントペースト |
Research Abstract |
昨年度、pythonで開発した2次元逆ラプラス変換プログラムをC言語で全面的に書き直して、解析プログラムの最適化を行った。行列計算や線型計算は、blasとlapackを組み込み、共有メモリ型並列計算機でopenmpによる並列計算を行えるように改善した。また、逆ラプラス処理に必要なスムージングパラメータαの決定を、これまでに広く用いられているS-curve法により求める機能をプログラムに追加し、異なるαの決定法で得られた解析結果を比較できるようにした。開発したプログラムは、要望のあった国内外の2つの大学研究室、1企業に配布し、プログラムの利用法やアルゴリズムの説明を行った。 開発した解析手法の応用として、セメント材料のプロトンの核磁気共鳴信号を取得し、T1(縦緩和時間)-T2(横緩和時間)およびT2-T2スペクトルの取得を行った。セメントは、白色セメントを用いて手練りでセメントペーストを調製した。測定は、0.5Tの永久磁石を用いた低磁場下と超電導磁石を用いた11.8 Tの2つの異なる磁場環境で行った。また0℃以下の低温でT1-T2スペクトルを得ることで、室温で観測されたT1-T2スペクトルのクロスピークの帰属を行った。一連の実験より、室温で観測されたT1-T2スペクトルのクロスピークは、セメントペーストを構成するCSHゲル中の水、異なるサイズ分布を持つキャピラリー空隙中の水に帰属された。さらに異なる磁場下でのクロスピーク位置の変化より、プロトンの回転相関時間、T2-T2スペクトルより、キャピラリー空隙とゲル空隙間の水の交換時間を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デスクトップコンピュータを用いて実用に耐えうる安定性と速度を有する2次元逆ラプラス変換のプログラムの開発は、完了した。また国内外の他研究室に配布し、解の安定性について検討を行い、高い評価を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、国内外の研究室と協力しながら開発した2次元逆ラプラス変換を様々な多孔質材料に適用して、これまでの分析法で得られなかった新しい知見を得ることを目的に研究を進める。
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Research Products
(6 results)