2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24750013
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
赤井 伸行 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50452008)
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Keywords | イオン液体 / 蒸発機構 / イオン対構造 / イオニシティー / 赤外分光 / 量子化学計算 |
Research Abstract |
さまざまな酸と塩基を当モル混合することにより作成したプロトン性イオン液体の蒸発機構を解明するために、低温希ガスマトリックス単離赤外分光法と量子化学計算を用いた研究を行った。 本研究以前には、非プロトン性イオン液体はアニオンーカチオンが対となった電気的に中性のイオン対として蒸発するのに対し、プロトン性イオン液体では酸と塩基に分離して蒸発するといわれていた。しかし、本研究では強酸ー強塩基からなるある種のイオン液体ではイオン対として蒸発することを実験的に証明することに成功した。具体的には酸としてビストリフルオロメタンスルホニルアミンやトリフルオロメタンサルホネート、塩基としてテトラメチルグアニジンを用いたイオン液体では、真空下での加熱によってイオン対として蒸発することを見出した。また、酸として酢酸、塩基としてトリエチルアミンやメチルイミダゾールを用いたイオン液体では従来の説どおり、酸と塩基を蒸発種として確認することができた。 イオン対として蒸発するのか、酸と塩基に乖離して蒸発するのかは、イオン液体を構成する酸と塩基のpH差(イオニシティー)に依存することが明らかとなった。イオニシティーが大きいほど酸-塩基状態よりもアニオン-カチオン状態のほうが安定である。大きなイオニシティーを持つ酸ー塩基の組み合わせでは、イオン液体中ではほとんどがアニオン‐カチオンとなるために、あたかも非プロトン性イオン液体のような挙動をとる結果、加熱によってイオン対構造を保持したまま加熱気化するという結論に至った。
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