2012 Fiscal Year Research-status Report
直接的アリール化反応を基盤とするリビング重合系の開発
Project/Area Number |
24750088
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
脇岡 正幸 京都大学, 化学研究所, 助教 (50598844)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 直接的アリール化 / パラジウム触媒 / 精密重合 / C-H結合切断 |
Research Abstract |
直接的アリール化重合において高活性を示すパラジウム触媒の開発を目的として、以下の2点について検討を行った。 (1) 反応中間体のモデルであるアリール錯体によるアレーン類の直接的アリール化を行った。PPh3を有するアセテート架橋の二核あるいは四核錯体 [PdAr(μ-O2CMe)(PPh3)]n (C1: Ar = Ph, C6H4Me-2, n = 2; Ar = C6H3Me2-2,6, n = 4) は2-メチルチオフェンと容易に反応し、対応する直接的アリール化生成物をほぼ定量的に与えることを見出した。溶液IR スペクトルと反応速度の解析結果から、多核錯体C1は溶液中で単核錯体 [PdAr(O2CMe-κ2O)(PPh3)](C2)との平衡にあり、C2 が真の活性種として2-メチルチオフェンと反応することが明らかとなった。 また、DFT計算により反応経路を調べたところ、反応は、C2に対するアレーンの配位、アレーンのC-H結合切断、直接的アリール化生成物の還元的脱離の三つの素反応により構成され、その律速段階がアレーンの種類によって異なることがわかった。すなわち、直接的アリール化は多段階反応であり、素反応の各段階が複雑に絡み合ってアレーン類の反応性が変化することがわかった。 (2) AA/BB型モノマーである2,7-ジブロモ-9,9-ジオクチルフルオレンと1,2,4,5-テトラフルオロベンゼンをモノマーとして用い、高活性を示すパラジウム触媒の開発を行った。その結果、Pd2(dba)3とP(C6H4OMe-2)3およびRCO2H (R = Me, t-Bu) から調製した触媒が高い活性を示し、分子量35万程度の高分子量ポリマーを与えることがわかった。現在、この触媒が高活性を示す原因について精査中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の検討により、直接的アリール化における触媒活性種の構造を明らかにするとともに、直接的アリール化重合に対して高活性を示す配位子を見出すことに成功した。今後検討を予定しているAB型モノマーのリビング重合の開始剤であるアリールパラジウム錯体の設計・合成に必要な知見が十分に得られたものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度に引き続き、[Pd(C6H3Me2-2,6)(μ-O2CMe)(PAr'3)]n(Ar' = C6H4OMe-4, C6H4CF3, etc.)とアレーン類との反応を行うことで、ホスフィン配位子の電子的効果について評価を行う。そして、当初の研究実施計画に従い、得られた知見を元に設計・合成した高効率開始剤[Pd(Ar)(μ-X')L]2、もしくは、[Pd(Ar)(X')L]を用いて、AB型モノマーの直接的アリール化重合を行う。そして、反応条件の最適化を行うことでリビング重合達成の可能性を探る。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|
Research Products
(12 results)