2013 Fiscal Year Annual Research Report
Regio、stereo選択的な開環メタセシス重合を用いた生体適合性材料の創製
Project/Area Number |
24750097
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小林 慎吾 山形大学, 理工学研究科, 助教 (70625110)
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Keywords | 開環メタセシス重合 / 血液適合性材料 / regio選択的重合 / 定序性高分子 / Grubbs触媒 / 精密重合 |
Research Abstract |
本研究課題では、高い血液適合性を発現するポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)と類似の側鎖官能基に着目し、側鎖官能基の構造と側鎖-側鎖間の炭素数、官能基種、官能基数を変更することによる血液適合性の制御に関する研究を行っている。 今年度は、cis-シクロオクテンのアリル位にアルコキシ基(メトキシトリエチレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール)、カルボン酸エステル(2-テトラヒドロフラニルメチル)、アミド類(N-イソプロピル、N,N-ジエチル)を導入したモノマーに、環員数を変更した3-[(2-メトキシエトキシ)カルボニル]シクロヘプテン、メトキシ基を複数置換した3,4-ジメトキシシクロオクテンを加えた合計7種のモノマーの合成に成功し、regio選択的なROMPと、続く水素添加反応による高分子の合成を行った。いずれの置換基を導入した場合も、高度にregio選択的な重合が進行し、側鎖-側鎖間の炭素数が制御された高分子の合成に成功した。また、導入する官能基が嵩高くなるにつれてregio選択性が向上することを確認した。得られた高分子の発現する親水性は、導入する官能基の種類、側鎖-側鎖間の炭素数によって制御することが可能であった。 中間水と呼ばれる特殊な水和構造に着目し、その解析を行った結果、高分子の一次構造制御を通じて、発現する中間水の量を制御することができ、中間水量の増大に伴って、血漿タンパク質(フィブリノーゲン)の変性度が軽微になっていることが確認できた。ヒト血小板粘着試験により、合成した高分子の血液適合性を評価した結果、中間水量の増大、タンパク質変性の低減に伴って、血小板粘着数が減少し、発現する抗血栓性を制御可能であることを確認した。 本研究の成果の一部については、学会合計22件(国際学会4件(うち1件が本人)、国内学会14件(同3件)、2014年度4件を予定)、論文1件(共著)、総説2件(単著)の対外発表を行った。
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Research Products
(28 results)