2013 Fiscal Year Annual Research Report
高精度モデリングに基づく不均一系オレフィン重合触媒の非経験的設計
Project/Area Number |
24750101
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
谷池 俊明 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 准教授 (50447687)
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Keywords | Ziegler-Nattaオレフィン重合触媒 / 実験と計算科学の相互支援に基づく触媒設計 / 密度汎関数計算 / 高精度モデリング / コンピュータ予測 |
Research Abstract |
計算科学の発展は不均一系触媒の構造や反応機構に関する種々の実験結果に量子化学的な解釈を与えることに成功したが、計算科学を手動とした高性能触媒の比経験的設計は未だに実現されていない。一方、工業的なオレフィン重合の主翼を担う不均一系Ziegler-Natta触媒の性能向上において、新規ドナーの開発が切望されている。近年、我々は実験結果に裏打ちされた密度汎関数計算によって、種々の結果を統一的に説明可能な共吸着モデルを提唱した。本研究の目的は、この高精度モデルを更に洗練し、真に非経験的なドナー設計を史上初めて実現することである。 本年度は、不均一系Ziegler-Natta重合に外部ドナーとして使用されるジアルキルジメトキシシランの分子構造と発現する性能に係る構造性能相関を解明することを目的とした実験、及び、計算を行った。共粉砕により調製した内部ドナーフリーのTiCl4/MgCl2触媒を採用し、各種ジアルキルジメトキシシランを外部ドナーとして添加した際の活性、不溶成分重量を、上述の共吸着モデルに基づく密度汎関数計算結果と系統的に比較した。その結果、触媒のプロピレン重合活性は、ジアルキルジメトキシシランが活性点近傍のMgCl2表面に吸着する際のエネルギー、プロピレン重合の立体選択性は、ジアルキルジメトキシシランが近傍に吸着した活性点の立体特異性により定量的に記述可能なことがわかった。このように、モノエステル系ドナーについて有効性が確認された方法論が、他のドナーにおいても同様に適用できることが明らかとなった。
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