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2012 Fiscal Year Research-status Report

タンパク質コロナと生体分子の相互作用の解明

Research Project

Project/Area Number 24750172
Research InstitutionNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology

Principal Investigator

平野 篤  独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究員 (90613547)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsナノ材料 / 蛋白質 / 生体分子
Research Abstract

ナノ粒子の生体安全性を理解するためには、ナノ粒子とタンパク質の複合体(タンパク質コロナ)の形成メカニズムとその生体内動態の理解が必須である。当該年度では、ナノ粒子とタンパク質複合体の形成メカニズム、特にナノ粒子とタンパク質の相互作用の物理化学的性質について調査した。
ホモポリペプチドとカーボンナノチューブをそれぞれタンパク質とナノ粒子のモデルとして用いることで、タンパク質とナノ粒子の相互作用に関する基礎知見を得た。親水性のホモポリペプチドであるポリアルギニン・ポリリシン・ポリグルタミン酸とカーボンナノチューブの相互作用を調べたところ、その相互作用はポリアルギニン>ポリリシン>ポリグルタミン酸の順で小さくなることが明らかになった。分子動力学計算で各ホモポリペプチドとカーボンナノチューブの結合力を調べたところ、結合力は実験で得られた上記の順と等しいことが示された。さらに、当計算結果から、ポリアルギニンとポリリシンは側鎖を介してカーボンナノチューブと相互作用する一方、ポリグルタミン酸は主として主鎖を介してカーボンナノチューブと相互作用することが明らかになった。このように相互作用する際のコンフォメーションの違いが、結合力の違いを生み出している。
当結果はタンパク質の表面の化学構造がカーボンナノチューブとの結合力に影響を及ぼすことを示している。疎水性のカーボンナノチューブの表面に親水性のホモポリペプチド(ポリアルギニンとポリリシン)も結合することは、カーボンナノチューブというナノサイズの表面に特有な現象であると考えられ、タンパク質コロナの形成機構を理解する上で興味深い。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究ではタンパク質コロナと生体分子の相互作用を理解することを目的としており、本年度は特にタンパク質コロナの形成メカニズムやその安定性の理解を目標とした。当初、様々なタンパク質を用いて網羅的に調べる予定であったが、実験の煩雑さと得られる結果の複雑さを考慮して、よりシンプルな化学構造のホモポリペプチドを用いることの優位性に着眼した。当判断は、当初の実験計画とは多少異なるものの、研究の目的に対する進捗を考慮すれば、下記の通りむしろ適切なものであった。
1.タンパク質コロナの高効率作製:チップ式超音波装置と超遠心分離機を組み合わせることによって、ホモポリペプチドとカーボンナノチューブの複合体の作製を達成した。
2.生体模倣系でのタンパク質コロナの立体構造と安定性:ホモポリペプチドの濃度が高くなるにつれて必ずしもカーボンナノチューブの分散性が高まるわけではないことを明らかにした。この結果は、細胞内で見られるいわゆるクラウダー効果を反映していると考えられる。
3.ナノ粒子表面構造の変化によるタンパク質コロナの物性変化:ホモポリペプチドによるカーボンナノチューブ(半径約1nm)の分散性には半径に対する依存性がないことを明らかにした。分子動力学計算を利用することで、分子構造レベルでの相互作用の理解が達成された。

Strategy for Future Research Activity

本年度の結果からタンパク質のアミノ酸側鎖とカーボンナノチューブの特徴的な相互作用によってタンパク質コロナが形成されることが明らかになった。今後はタンパク質コロナと様々な生体分子との相互作用を調べることにより、生体内でのタンパク質コロナの動態の理解を目指す。当知見によって、ナノ粒子の安全性・有害性を分子レベルからのボトムアップで理解することが可能になる。さらに必要に応じて、分子動力学計算を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初の計画では多数のタンパク質を用いた網羅的な実験を想定したが、上記のように本年度の実験計画の修正によって、代わりにホモポリペプチドを使用した。それに伴ってFT-IR用減衰全反射装置の購入やタンパク質などの消耗品の一部の購入を延期した。代わって、次年度はそれらの研究費を本年度の研究の遂行に必要な設備費と消耗品に主として当てる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] カーボンナノチューブとホモポリペプチドの相互作用2013

    • Author(s)
      平野 篤, 亀田 倫史, 田中 丈士, 片浦 弘道
    • Organizer
      第43回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • Place of Presentation
      東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール
    • Year and Date
      20130311-20130313

URL: 

Published: 2014-07-24  

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