2012 Fiscal Year Research-status Report
ゾル-ゲル法によるガーネット型固体電解質調製法の開拓
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24750187
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Research Institution | Hakodate National College of Technology |
Principal Investigator |
寿 雅史 函館工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20432164)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 無機化学 / セラミックス / 電池 / 固体電解質 / ゾル-ゲル法 |
Research Abstract |
全固体リチウム電池は、その高安全性、高耐久性から次世代リチウム電池として注目されている。様々な全固体電池用セラミックス固体電解質が報告されているが、中でもLi7La3Zr2O12(LLZ)は、リチウムイオン伝導率が高いため、多くの研究者が注目している。しかしながら、LLZは、その調製に1230℃という高温が必要なため、低温プロセスの開発が望まれている。そこで、本研究では、セラミックスを低温で調製することのできるゾルーゲル法を利用して、LLZ固体電解質の低温調製を試みる。 本年度の計画は、ゾルーゲル法によるLLZ固体電解質調製経路の確立と最終生成物の性質に大きな影響を及ぼすリチウム原料、ランタン原料の影響を調べることであった。 まず最初に、リチウム、ランタンの酢酸塩を使用し、ゾルーゲル法によるLLZ固体電解質調製経路の確立を試みた。これまでに申請者は、他の固体電解質をゾルーゲル法で調製した経験がありその手法を応用し、LLZの調製を試みたが、金属ゾル溶液を作製することができなかった。そこで、酸濃度、アルコール、水とリチウム塩、ランタン塩の濃度を詳細に検討した結果、LLZ前駆体ゾル溶液を作製することに成功した。このゾル溶液を使用して、LLZ固体電解質を調製したところ、1100℃と従来の1230℃よりも130℃低い温度でLLZを調製することに成功した。 本研究成果は、平成25年4月8日~11日に行われた4th International conference on functional material and devisesで発表し、現在論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、2項目あり、一つはゾルーゲル法によるLLZ固体電解質の低温合成法を確立すること、そしてもう一つは元素置換によるLLZ固体電解質のリチウムイオン導電率の向上である。このうち、平成24年度は、LLZ固体電解質の低温合成法の確立に焦点をおき、出発物質が最終生成物に与える影響と不純物生成の抑制を検討する予定であった。 その結果、酢酸リチウム、酢酸ランタンを使用して、酸濃度、アルコール、水とリチウム塩、ランタン塩の濃度を詳細に検討した結果、LLZ前駆体ゾル溶液を作製することに成功し、従来法である固相法での焼成温度1230℃よりも130℃低い1100℃ででLLZ固体電解質を調製することができた。従って、ゾルーゲル法によるLLZ固体電解質合成法の確立は、最適な手法でないかもしれないが達成したことになる。また、この条件下では不純物の生成が確認されなかったことから、目的にあった不純物生成の抑制も達成したことになる。 しかしながら、これまでにLLZ固体電解質の調製は、酢酸リチウム、酢酸ランタンを使用した場合しか検討しておらず、出発物質が最終生成物に与える影響に関してはまだ未検討である。 したがって、平成24年度は、おおむね研究計画通りに進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、ゾルーゲル法によるLLZ固体電解質の調製法を確立できた。しかしながら、24年度中に計画していたリチウム塩、ランタン塩が最終生成物に与える影響については検討できなかった為、平成25年度に行う。 まず最初に、平成24年度中に確立した調製手法を基に他のリチウム塩、ランタン塩を使用してLLZ固体電解質の調製を行う。その後、元素置換によるLLZ固体電解質のリチウムイオン導電率の向上を検討する。 平成24年度中に達成したLLZ固体電解質の調製では、焼成温度が1100℃と従来法に比べて、130℃低温化することに成功した。しかし、低温プロセスと呼ぶには、あと100℃以上(焼成温度1000℃以下)の低温化が必要である。他のリチウム塩、ランタン塩を使用して調製した場合に、焼成温度が1000℃以下にならなければ、LLZ固体電解質のリチウムイオン導電率の向上より先に焼結剤の添加を試みる。焼結剤としては、これまでに報告例のあるAl2O3、SiO2を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究提案を迅速に行うための、装置(ボールミル、電気炉)に関しては、昨年度に購入済みであるので、本年度は、主に試薬等の消耗品、学会参加の為の旅費、論文投稿料に助成金を使用する予定である。 消耗品は、試薬としてZr源としてのジルコニウムアルコキシドと各種La塩、Li塩、各種アルコール、そして必要なら焼結剤用Al塩、Si塩を考えている。また、試料作製に恒常的に用いるメスピペットやビーカーなどをガラス器具として、セラミックス器具類として電気炉発熱体や焼成ボートを計上している。金属部品としては、電気炉周りの付属品の作製、金属コーターのターゲットの購入に使用する予定である。 研究成果は、平成26年3月に行われる電気化学会等で発表、論文発表する予定である。助成金の一部は、学会参加のための旅費や論文投稿料にも使用する。
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Research Products
(1 results)