2013 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ表面構造によって光キャリア制御された高性能光触媒粒子の開発
Project/Area Number |
24750204
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 直也 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10452822)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / 光音響分光法 |
Research Abstract |
「なぜ,特定の露出結晶面を有する粒子が高い光触媒活性を示し,表面形態によって活性が変化するのか」を明らかにするために,表面構造制御されたアナタース・ルチル・ブルッカイト型の酸化チタン粒子を水熱合成法により調製し,その表面形態(露出結晶面の種類・比率・粒子サイズ)がどのように光触媒反応の特性に寄与するかを考察した. 本年度は,二重励起光音響分光法を粒子サイズ制御されたアナタース型十面体酸化チタンに適用し,その電子挙動の解析を行った.まず,結晶性の指標となる結晶欠陥量の定量を行ったところ,粒子サイズと欠陥量の間に市販の球状粒子と同様の負の相関関係がみられた.このことは,表面構造にかかわらず欠陥量は粒子サイズ(比表面積)によって主に支配されることを示唆している.従来,アナタース型十面体酸化チタンをはじめとする表面構造制御された粒子には結晶欠陥が少なくこれが高活性の一因と考えられてきたが,今回得られた結果は形状制御された粒子が高活性である理由は欠陥量のみでは説明できないことを意味している.一方で,電子の還元反応性についても検討を行ったが,粒子サイズとの還元反応性の間に明確な相関関係は見られなかった. また,赤外領域における電子の過渡吸収の情報を取得するための二重励起光音響分光法の改良にも着手した.近赤外領域の発光ダイオードを用いることにより,より浅い準位にトラップされた電子を検出することに成功した.今後,本手法を表面構造制御された酸化チタン粒子に適用していくとともに,より浅いエネルギー順位にトラップされた電子を検出するべくフーリエ変換型赤外分光装置と組み合わせた解析を行っていく予定である.
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