2013 Fiscal Year Annual Research Report
極微コンタクトにおける金属シリサイド初期形成素過程のその場STM観察
Project/Area Number |
24760031
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
神岡 武文 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (00434332)
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Keywords | シリコン / ニッケル / シリサイド / イオン注入 / 走査型トンネル顕微鏡 / 核形成 / 欠陥 |
Research Abstract |
Si(111)-7x7表面に対するNiイオン照射過程のリアルタイムSTM観察に成功した。これまでに、イオン照射したその場での観察には成功していたが、イオン照射と観察とが少なくとも1時間程度隔たりがあり、イオン照射後の平衡状態を観察しているに過ぎなかった。今年度は、STM観察中にイオン照射を行うことで、イオン照射前後において、原子的スケールで同一領域の観察をし続ける、いわゆるリアルタイム観察により、イオン照射によるシリサイド核形成を直接捉えることができた。 このようなイオン照射誘起のNiシリサイドは、表面空孔が二次元的に凝集した空孔アイランドを囲の周縁部だけでなく、ステップ端にも核形成されることがわかった。これは、シリサイド化が格子空孔の近傍で促進されることをを示すものと考えられる。 また、Niシリサイドの核形成・成長メカニズムに関して解析を進めた。本研究におけるNiイオン注入量は非常に少なく、観察されるシリサイドはステップ端や空孔アイランド周縁部など局所的に形成されるため、従来の表面分析手法では組成分析が困難である。そこで、空孔アイランドの周縁部にシリサイドが核形成するモデルを仮定し、関与したNi原子数を見積もったところ、少なくともNi組成比の大きなシリサイドであること、および、周縁部からシリサイドが成長したこと、が示唆された。 研究期間を通して、Niシリサイドの核形成および成長過程が原子的スケールで明らかになってきた。しかし、イオン源の寿命や安定性、および、STM探針直下にビームを照準する技術などに改善の余地があり、現時点では実験効率が低い。このため、基板中の残留欠陥がシリサイド化に与える影響の研究が進展せず今後の課題となった。ただし、立体構造の観察技術を応用した、低エネルギーイオン照射による表面損傷効果のリアルタイム評価の実証など、新しい実験手法提案への展開も進んだ。
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