2012 Fiscal Year Research-status Report
結晶異方性を考慮したサブグレインスケールの微視的応力・ひずみ分布測定手法の構築
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24760077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三上 欣希 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40397758)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微視的ひずみ / 微視的応力 / 結晶方位 / デジタル画像相関法 / 結晶塑性有限要素解析 |
Research Abstract |
オーステナイト系ステンレス鋼の微小引張試験片を放電加工により作製し,引張試験を行った.引張試験はデジタルマイクロスコープの観察下で実施し,試験中の表面画像を複数の負荷レベルにおいて撮影して,デジタル画像相関法により変位およびひずみを算出した.デジタル画像相関法による変位算出が可能な試験片表面のデジタル画像を取得するため,微小引張試験片表面の研磨および腐食などの処理条件の検討,ならびに,デジタルマイクロスコープによる撮影時の倍率や解像度などの撮影条件の検討を行い,適切な条件を導出することができた.また,引張試験後の微小引張試験片の表面では,電子後方散乱回折法による結晶方位測定も実施した.結晶方位は,以降で実施する結晶塑性有限要素解析に用いる情報としては,概ね十分な品質で測定することが可能であったが,一部,塑性変形の付与により,測定される結晶方位が乱れる場合があることが確認でき,提案手法を適用可能な引張試験条件について検討が必要であることを把握することができた. また,撮影した試験片の表面画像を用いて行ったデジタル画像相関法では,サブセットサイズや補間方法などについて検討を行い,本研究で対象とするオーステナイト系ステンレス鋼の結晶粒レベルにおける変位およびひずみ算出が可能となった.なおデジタル画像相関法により算出された変位量およびひずみ量は,試験条件から推定される値と概ね一致していることを確認できた. 以上の実験により微視的なひずみを測定するための検討に加え,電子後方散乱回折法により測定した結晶粒形状および結晶方位を考慮した結晶塑性有限要素解析手法の構築にも取り組んだ. 平成24年度は,本研究課題で提案する一連のアプローチのそれぞれについて基礎的な検討を行い,結晶粒レベルの変位およびひずみの評価に適用することができるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デジタル画像相関法によるひずみ測定と電子後方散乱回折法による結晶方位測定を組み合わせることにより,結晶方位による異方性変形挙動を考慮して微視的ひずみテンソルを面外成分も含めて同定するという目的に対し,いずれも,基本的な条件での測定および算出は可能となっている.また,並行して,結晶塑性有限要素解析による検討も進めており,こちらも基本的な手法の構築は完了した状態である.このように,平成24年度の検討により,デジタル画像相関法および結晶塑性有限要素解析を連携して活用するために必要な基盤を構築することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究により,デジタル画像相関法および結晶塑性有限要素解析のそれぞれについて,基本的な手法を構築することができた.今後は,これらの手法によって得られた結果を相互に比較・参照しながら手法の高度化を行う.そのために,熱処理によりオーステナイト系ステンレス鋼の粗大結晶粒を作製し,測定および数値解析におけるモデル化がともに比較的容易で,対応関係を詳細に検討できるようにする. また,微視的応力測定のために,電子線回折を用いた弾性応力場評価手法が提案されていることをふまえ,本研究での提案手法との比較考察を視野に入れ,同手法の導入や適用の要否について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,実験および数値解析ともに,保有していた材料の活用,現有設備の利用,学内の共同利用設備や他研究室の装置の借用などにより,基礎的な検討を効率的に推進することができた.その結果生じた次年度使用額は,今後,本研究課題においては大規模・大容量の数値解析を実施する必要が生じる見込みであるため,数値解析ワークステーションの増強や,電子線回折を用いた弾性応力場評価に必要な電子線後方散乱回折装置の付帯装置の導入に使用することを計画している.
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Research Products
(4 results)