• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

超音波を利用した高分子材料と金属の直接接合新技術の開発

Research Project

Project/Area Number 24760083
Research InstitutionAkita Prefectural University

Principal Investigator

境 英一  秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (70581289)

Keywords接合 / 表面処理
Research Abstract

前年度において,接合に用いる金属(アルミニウム,Al)の表面処理に重点を置いた検討を行い,接合性を向上させるためのメカニズムを明らかにすることができたが,十分な接合強度を得ることができなかった.このため,平成25年度はまず,表面処理方法についてさらなる検討を試みた.
前年度は,ナノサイズの微細孔を設けてアンカー効果を利用する方法(微細孔処理)と化学結合を利用するシラン処理の2種類を検討し,それより微細孔処理が有効であることを結論づけていた.平成25年度は,さらなる接合性の向上のため,この微細孔処理により形成されたAl表面の微細構造の分析を行った.微細孔処理の方法については,本年度は孔食処理と陽極酸化処理の2種類とした.接合強度については,提案超音波接合法よりも容易に接合が可能である射出接合により得られた試験片で評価した.
孔食処理を行ったAl表面のSEM画像解析により,接合強度は,処理時間によって変化する接合面に占める孔の大きさよりもむしろ,接合面に占める孔の面積割合の変化に依存することが示唆された.このため,さらにAl表面の微細構造を原子間力顕微鏡(AFM)で解析した結果,良好な接合性を示すAl表面は,孔径数百nm,深さ約10nm程度の比較的大きな微細孔内部にそれより小さく浅い微細孔が形成されていることが明らかとなった.陽極酸化処理の場合でも同様な傾向が見られたが,Al-樹脂の引張せん断試験後の破断面を分析した結果,Al酸化膜層の部分破壊が見られた.また,孔食処理よりも接合性にばらつきが少ない結果となった.
以上のように,新型超音波接合法への応用をねらいとして表面処理方法を検討した結果,良好な接合性を得るための表面微細構造とその制御方法を明らかとすることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度の目標は,まず接合強度を向上させる方法・条件について表面処理方法の検討およびそれらの知見を基盤とした環境負荷の影響や耐久性の評価であった.「研究実績の概要」にある通り,本年度は微細孔処理により形成されたAl表面の微細構造の分析を行い,強度を向上させるためのAl表面の微細構造とその制御方法を明らかにすることができたため,この目標についてはおおよそ達成している.しかし,以前,接合強度の低さが課題としてあり,さらにその原因を分析する必要がある.また,この表面処理方法の検討に時間を要しているため,その発展的目標であった環境負荷の影響や耐久性の評価については検討が不十分である.したがって,申請書に記載した計画よりも「やや遅れている」とした.

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は,まず,本年度の課題となった接合強度向上のための表面処理方法についてさらなる検討を行う.次にそれらの知見を基盤として,環境負荷の影響や耐久性の評価を行うことを目標とする.
具体的には,接合体の気密性と耐水性の評価として,恒温恒湿機中に任意の時間だけ静置させた接合体の重量および接合強度の経時変化を検討する.さらに温度変化試験も行うことで耐熱性の評価も実施する.さらに疲労特性の評価を行う予定であり,最後に研究の総括として接合強度・気密性・耐熱性・耐久性に及ぼす接合界面構造の影響,それらの界面構造と表面改質方法・接合条件との関係を総合的に考察し,当技術の実用化のための知見を得る.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度の目標として接合強度を向上させる方法・条件について表面処理方法の検討およびそれらの知見を基盤とした環境負荷の影響や耐久性の評価を挙げていたが,表面処理方法の検討に時間を要し,そのうちの環境負荷の影響や耐久性の評価まで至ることができなかった.これによりその評価に必要となる物品の購入を行わなかったため,次年度使用額が生じた.
平成26年度は,本年度十分に実施することができなかった環境負荷の影響と耐久性の評価を行うため,これに必要な恒温炉の購入が必要となる.また,それらの評価に用いる接合体を作製するために樹脂や薬品類の購入が必要であり,これに用いる.

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013

All Presentation (4 results) Book (1 results)

  • [Presentation] 超音波接合したPC/POM接合体の強度と界面構造の関係2013

    • Author(s)
      境 英一,安藤瑛基,邱 建輝
    • Organizer
      日本機械学会東北支部第49期秋季講演会
    • Place of Presentation
      盛岡市
    • Year and Date
      20130920-20130920
  • [Presentation] アルミニウムの表面微細構造と熱可塑性樹脂との接合特性の関係2013

    • Author(s)
      村上 卓,邱 建輝,境 英一,呉 勇波,藤本正和
    • Organizer
      日本機械学会東北支部第49期秋季講演会
    • Place of Presentation
      盛岡市
    • Year and Date
      20130920-20130920
  • [Presentation] 表面処理によるPPS/Alの射出接合およびその接合強度の検討2013

    • Author(s)
      中村祐太, 邱 建輝,村上 卓,境 英一
    • Organizer
      日本機械学会東北支部第49期秋季講演会
    • Place of Presentation
      盛岡市
    • Year and Date
      20130920-20130920
  • [Presentation] 中間層射出により形成されたPC-PMMAの溶着強度と界面構造2013

    • Author(s)
      渡邊元貴,邱 建輝,境 英一,千田紘也,張 文娟
    • Organizer
      日本機械学会東北支部第49期秋季講演会
    • Place of Presentation
      盛岡市
    • Year and Date
      20130920-20130920
  • [Book] 高分子における劣化・破壊現象の写真・データ事例集,第4章第2節2014

    • Author(s)
      邱 建輝,境 英一
    • Total Pages
      10
    • Publisher
      技術情報協会

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi