2012 Fiscal Year Research-status Report
建設的干渉を用いた低消費電力無線センサネットワーク基盤技術に関する研究
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24760289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 誠 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (20615257)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 無線センサネットワーク / 建設的干渉 / 高信頼 / 低消費電力 / M2M |
Research Abstract |
本研究では,建設的干渉フラッディングに基づく低消費電力・低遅延・高信頼な無線センサネットワーク基盤技術について検討する.平成24年度は,建設的干渉利用型ネットワーク基盤技術の開発および時刻同期統合型基盤ソフトウェアの基礎的検討を行い,初期的な実装評価を通して有効性を示した. 1. 建設的干渉の基礎的検討 建設的干渉現象を確認するために,ソフトウェア無線であるGnuRadioを利用して,シミュレーションおよび実機評価を行った.具体的には,タイミング,キャリアオフセット,パワー比をパラメータとして複数波を重ね合わせ,どのような条件下でパケットの受信が可能であるかを確認した.評価の結果,パワー比が5dB程度あれば,10kHz程度のキャリアオフセットが存在する場合でも,復調が可能であることなどを明らかとした. 2. 建設的干渉利用型ネットワーク基盤技術の開発 TelosBを利用して,建設的干渉利用型のエンド・ツー・エンド信頼型データ収集プロトコルの開発を行った.また,研究室内で50台,データセンタで100台によってネットワークを構成し,初期的検証を行った.50台のセンサノードにより構築されるネットワークで,30秒に1回程度であれば,標準的な収集プロトコルであるCTPと比較して,7倍程度消費電力効率が高く,単三電池2本で,2年程度バッテリが持続することを明らかとした. 3. 時刻同期機構統合型基盤ソフトウェアの基礎的検討 2. で示したネットワーク基盤技術を容易に利用可能とするための,基盤ソフトウェアの開発を行った.本基盤ソフトウェアでは,建設的干渉型フラッディングで得た時刻情報を,アプリケーションから簡易なインタフェースで利用可能なように設計を行った.これにより,農場モニタリング,データセンタモニタリング,および地震モニタリングなどで重要となる同期サンプリング機構を容易に実装可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した通り,基礎的な設計および実装を完了し,予想通りの性能を得ているため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,平成24年度の検討をさらに推し進めるとともに,各機構間のAPIなどを詳細に検討し,開発を完了させるとともに,実証実験を行う. 1. 建設的干渉現象利用型ネットワーク基盤技術の開発 平成24年度に開発したデータ収集機構を拡張し,センサネットワークの実際的な運用に必要となる,イベント検知機構,データ拡散機構などを開発する. 2. 時刻同期統合型ソフトウェア基盤の開発 データ拡散機構やイベント検知機能などについて,アプリケーションから容易に利用可能とするAPIを設計する.また,実際的な無線センサネットワーク開発において必要となる,CPU間での同期手法についても開発する. 3. 実証実験 学内に,数10台で構成される地震モニタリングシステムを構築し,上記ネットワーク基盤技術およびオペレーティングシステムなどの実証実験を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
[組み込み機器開発用PC/無線センサノード] ネットワーク基盤技術および時刻同期統合型オペレーティングシステムの開発に必要である.無線センサノードは TelosB を用いる. [電子部品] 実証実験に必要である
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Research Products
(5 results)