2013 Fiscal Year Research-status Report
高次統計量を基にする適応フィルタによる突発性騒音抑圧システムの開発
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24760300
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
笹岡 直人 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432607)
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Keywords | 信号処理 / 音声強調 / 高次統計量 / 適応フィルタ / 補聴器 |
Research Abstract |
音声に重畳する周囲環境騒音を抑圧する手法が従来から研究されているが、騒音の定常性もしくは特性変動が緩やかであることを仮定しているため、物体が衝突するときに発生する突発性騒音の抑圧は困難であった。また、発生時刻の特定が難しいことも抑圧を困難とする原因である。突発性騒音は鳴り初めでは広帯域成分が発生し、その後、物体の固有振動に対応した周波数を中心とした狭帯域成分へ急激に変動する。特に狭帯域成分の継続時間は音声の継続時間を超えることもあり、狭帯域成分は会話を困難とする主な原因となる。そこで本研究では、突発性騒音に含まれる狭帯域成分の抑圧を目的とし、1次元4次キュムラントを評価関数とする線形予測器を騒音抑圧に用いる手法について検討を行う。 本年度は4次キュムラントを評価関数とする線形予測器による突発性騒音抑圧システムについてDSPへの実装を想定した提案適応アルゴリズムの収束条件の検討及び収束速度改善手法について提案を行った。昨年度までの成果である提案適応アルゴリズムではアルゴリズム更新に用いるステップサイズによりシステムが発散する問題があった。そこで適応アルゴリズムの収束条件、つまりシステムが安定動作するステップサイズの範囲を明らかにした。また、適応アルゴリズムの収束速度の更なる改善のため、再帰最小2乗型アルゴリズムを適応アルゴリズムに導入した。これにより騒音の狭帯域成分に対する騒音抑圧性能の改善が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、4次キュムラントを基にする適応アルゴリズムの収束速度改善と騒音抑圧システムのDSP実装が課題であった。昨年度までに検討を行った4次キュムラントを基にする適応アルゴリズムでは適応アルゴリズムが収束にかかる時間が遅かったため、騒音抑圧性能が不十分であった。そこで再帰最小2乗型アルゴリズムを導入することにより収束時間を短縮し、騒音抑圧性能の改善を行った。シミュレーション実験により騒音抑圧性能の改善が確認されており、計画通りである.また,突発性騒音抑圧システムのDSP実装に向け、適応アルゴリズムの収束範囲、各種パラメータ設定の最適化も検討しており、概ね計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究課題は、本年度までに得られた結果を基に突発性騒音抑圧システムを導入した補聴器を試作することである。 まず、突発性騒音抑圧システムをDSPに搭載し、実環境騒音データに収録されている各種突発性騒音に対して主観評価を含めた評価実験を行う。そして、イヤホン型の補聴器を試作し、補聴器及び突発性騒音抑圧システムの各種設定値の検証も実施する。並行して、主観評価、客観評価によるシステムの評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
翌年度に実施する予定のシステム評価に必要な消耗品をあらかじめ購入する予定であったが、納入に時間がかかることが判明したことにより購入を見合わせたため。 次年度使用額と平成26年度請求分を使用し、翌年度実施予定のシステム評価に必要な物品購入を行う予定である。当初、次年度使用額により翌年度実施予定のシステム評価に必要な物品をあらかじめ購入する予定であったため、研究計画全体に対する影響はない。
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Research Products
(2 results)