2012 Fiscal Year Research-status Report
光反射特性に基づく表面テクスチャの機能性推定に関する開発研究
Project/Area Number |
24760325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 幸三 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (40351978)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光反射特性 / 表面テクスチャ / 表面機能 / 魚眼カメラ |
Research Abstract |
本研究では,材料表面の光反射特性を利用して,非接触で表面機能(濡れ性と流動抵抗)を推定可能な計測装置と解析手法の開発に挑戦する.その基本的な考え方は,まず,表面テクスチャ(物体表面の微細な凹凸)と表面機能との相関を調査し,データベース化する.そして,表面テクスチャがもつ幾何学的な繰り返し性(フラクタル次元)と光反射特性との相関に着目し,測定した光反射特性の特徴から表面機能を推定するものである.本成果は,材料表面に所望の表面機能を付加する場合において,表面テクスチャの最適設計に対して新たな指標を与えることに工学的な意義がある. 本年度の主な計画は,①光反射特性測定装置の開発,②表面テクスチャの測定(光反射特性,3次元形状,表面機能)であった.まず,①については予定どおり完了し,評価実験の結果,理論どおりに光反射特性を取得できることを確認した.本装置は,簡易的ではなるが,従来法と比較して装置規模が小さく,かつ測定対象から試料を切り取ることなく測定できる点に特徴がある.工業用部品などの表面傷の検査への適用も可能である.この成果は国際会議(SICE2013)へ投稿中である.次に,②については次年度前期までの予定であり,現在進行中である.現時点では,サンドペーパーをサンプルとして,その光反射特性を測定するとともに,2次元表面粗さを高精度レーザ変位計で測定した.今後,測定した光反射特性と2次元表面粗さの相関を解析していく予定であるが,光反射特性に含まれる鏡面成分と拡散成分から特徴量をどのように決定するかが課題となっている.また,2次元表面粗さの特徴をフラクタル次元として定量化するアルゴリズムも検討中である.最終的には,表面テクスチャとして数十ミクロン~数ミリオーダーの円状凹凸や矩形凹凸を配列した試験片を作成し,実験していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な計画は,①光反射特性測定装置の開発,②表面テクスチャの測定(光反射特性,3次元形状,表面機能)であった.まず,①については予定どおり完了し,評価実験の結果,理論どおりに光反射特性を取得できることを確認した.次に,②については次年度前期までの予定であり,予定のほぼ50%は完了している.新しい試験片を作成し,引き続き実験を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
①表面テクスチャの測定(光反射特性,3次元形状,表面機能),②光反射特性とフラクタル次元との相関,および③フラクタル次元と表面機能の関係データベース構築,を進める. ①は,昨年度からの継続である.昨年度は,予備実験用の試験片としてサンドペーパーを用い,測定方法やデータ処理の妥当性を確認した.本年度は,表面テクスチャを設計・加工した試験片を作成し,②と③の基本データとする.②では,表面テクスチャに対してレーザスポット光を照射して,その光反射特性を測定する.このとき,レーザスポットの径を順次大きくし,各照射領域の光反射特性から相似性を見出す.このようにして得られた光反射特性の相似性に着目して,表面テクスチャのフラクタル次元との相関を定量化する.③は,表面テクスチャのフラクタル次元と表面機能(濡れ性,流動抵抗)との関係をデータベース化する.表面機能の測定は,材料設計および熱流体を専門とする研究協力者とともに進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰り越し分は,昨年度からの継続となっている試験片の製作費に充当する.その他の研究費は,計画通り,研究打ち合わせと成果発表に伴う旅費,実験補助・データ整理に伴う謝金に充当する予定である.
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