2013 Fiscal Year Research-status Report
光反射特性に基づく表面テクスチャの機能性推定に関する開発研究
Project/Area Number |
24760325
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
大谷 幸三 広島工業大学, 情報学部, 准教授 (40351978)
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Keywords | 光反射特性 / 表面テクスチャ / 表面機能 / 魚眼カメラ |
Research Abstract |
本研究では,材料表面の光反射特性を利用して,非接触で表面機能(濡れ性と流動抵抗)を推定可能な計測装置と解析手法の開発に挑戦する.その基本的な考え方は,まず,表面テクスチャ(物体表面の微細な凹凸)と表面機能との相関を調査し,データベース化する.そして,表面テクスチャがもつ幾何学的な繰り返し性(フラクタル次元)と光反射特性との相関に着目し,測定した光反射特性の特徴から表面機能を推定するものである.本成果は,材料表面に所望の表面機能を付加する場合において,表面テクスチャの最適設計に対して新たな指標を与えることに工学的な意義がある. 本年度の主な計画は,①表面テクスチャの測定と②相関解析であった.まず①については,アルミ板の表面に0.1mm径の円状テクスチャを種々の条件でマトリックス状に加工した試験片を作成し,その光反射特性と表面粗さ(フラクタル次元)を測定した.円状テクスチャのピッチは0.6mm~3.0mmの10種類,深さは0.2mm~0.6mmの3種類で,試験片は合計30種類である.光反射特性は,試験片に照射するレーザ光のスポットサイズを一定にした場合,円状テクスチャのピッチが大きくになるにつれて鏡面反射成分の比率が高くなった.一方,フラクタル次元は,単位面積あたりの円状テクスチャの数が多くなるほど大きくなり,ほぼ期待通りの傾向が得られた.次に,②については次年度前期までの予定であり,現在進行中である.現時点では光反射特性を16個の特徴量で定量化し,それらとフラクタル次元との相関を解析している段階である.今後,多変量解析の手法を導入し,光反射特性からフラクタル次元を同定することが可能か否かを検証していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な計画は,①表面テクスチャの測定と②相関解析であった.まず,①については,所望の条件で表面テクスチャを加工した試験片に対して光反射特性と表面粗さ(フラクタル次元)の測定を行うことができた.測定結果は,当初予想していた傾向とほぼ一致しており,研究方針の妥当性を確認することができた.次に,②については次年度前期までの予定である.現時点までに,光反射特性の特徴を定量化するためのアルゴリズムとその実装は完了しており,予定のほぼ50%の進捗状況である.今後は,光反射特性から抽出した特徴量と表面テクスチャのフラクタル次元との相関を,多変量解析の手法を用いて明らかにしていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
①光反射特性とフラクタル次元との相関,②フラクタル次元と表面機能の関係データベースの構築および③本手法の総合的な検証・評価を行う. ①は,昨年度からの継続である.昨年度作成した30種類の試験片に対して,光反射特性の特徴量とフラクタル次元との相関を検証していく.試験片に照射するレーザスポットの径を順次大きくし,照射領域の大きさも考慮に入れる.②では,現試験片の表面機能(濡れ性と流動抵抗)を測定し,①で取得したフラクタル次元との関係データベースを構築する.必要であれば,現試験片とは異なる表面テクスチャをもつ試験片を作成し,データベースの充実を図る.③では,②のデータベースを用い,表面テクスチャの特徴量から表面機能を推定することが可能か否かを検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通りの予算である. 計画通り,研究打ち合わせと成果発表に伴う旅費,実験補助・データ整理に伴う謝金に充当する予定である.繰り越し分は,試験片の製作費等に充当する.
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