2012 Fiscal Year Research-status Report
生物を規範とする二関節筋ロボットの視触覚フィードバック制御に関する研究
Project/Area Number |
24760343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
河合 宏之 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (70410298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 制御工学 / 知能ロボティクス / 二関節筋 / 視覚情報 / 力・触覚情報 |
Research Abstract |
本研究の目的は,二関節筋を有するロボットマニピュレータの位置決めをオープンループで制御し,軌道生成やマニピュレータの不確かさの対処に視覚情報と触覚情報を用いることでロボットに生物の有する環境に対する柔軟性を獲得させた生物規範型のロボット制御を提案することにある. この研究目的に対して,本年度は二関節筋ロボットの有する非線形特性を陽に示したモデルに対して,関節角度や関節速度のフィードバックを必要としない,受動性に基づくオープンループ制御を提案した.その際,システムの有する受動性を考慮したエネルギー関数を構成することで,リアプノフの安定定理に基づきシステムの安定性を議論した.また,提案する受動性に基づくオープンループ制御則では,二関節筋ロボットの運動する範囲を水平面上(すなわち重力の影響を受けない状況)に限定することで,安定性を示す際に必要となる条件を緩和できること,二関節筋ロボットの質量やリンク長といったパラメータの不確かさにの影響を受けにくい特性を持つことを示した. 提案する制御手法の有用性を検証するために,MatlabとSimulinkを用いたシミュレータ環境の構築をおこなった.そして,二関節筋ロボットで位置決めをおこなう際,提案した受動性に基づくオープンループ制御則では人間の動きに似た軌道を描くことを,シミュレータ上で確認した.また,センサ内蔵ゴム人工筋肉と呼ばれる空気圧アクチュエータを用いた,二関節筋ロボットの設計・製作をはじめており,次年度以降の実験環境の整備をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に予定していた通り,二関節筋ロボットのオープンループ制御の提案と安定性解析までおこなった.また,計算機上のシミュレータで制御則の有用性を確認できる状況にあり,次年度以降の実験環境の整備も着実におこなっているため.
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Strategy for Future Research Activity |
提案したオープンループ制御則をもとに,より生物の動きに倣うために二関節筋ロボットの作業空間をカメラで捉えることで手先の位置姿勢を制御する二関節筋ロボットの視覚フィードバック制御について考える. 二関節筋ロボットの有する筋肉の特性であるバネ-ダンパを厳密に同定することは難しく,不確かさを含むことが考えられる.この不確かさの影響を抑えるために,オープンループ制御に加えて視覚情報による手先の位置姿勢制御を考慮した問題を設定する.そして,設定された制御目的を満足するように,制御系設計をおこなう.従来研究においてカメラからの視覚情報を用いて観測対象までの相対位置姿勢を推定する動的視覚オブザーザが受動性を有していることを示しており,この性質と二関節筋ロボットの有する受動性をあわせることでエネルギー関数を整形し,制御則の提案と安定性解析をおこなう. また,現在製作中の二関節筋ロボットを用いた実験を実施するとともに,視覚センサを付加することでシステムを再構築し二関節筋ロボットの視覚フィードバックシステムを構成し,次年度に提案する制御則が実現できる環境を整える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
製作中の二関節筋ロボットの部材の購入,シミュレーションのためのソフトウェアの更新,また,関連する研究の資料収集のための学会参加旅費ならびに研究成果の発表のための旅費などに使用する予定である.
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