2012 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド連続繊維緊張材および緊張接着補強技術の開発
Project/Area Number |
24760352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
岩下 健太郎 名城大学, 理工学部, 准教授 (30544738)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 繊維補強材 / 積層ハイブリッド / コンクリート / 接着補強 / プレストレス |
Research Abstract |
低価格で靭性に優れるバサルト繊維材やガラス繊維材,炭素鋼,そして炭素繊維材の剛性,強度,靱性,耐クリープ性,耐火性,耐疲労特性,温度適応性能などを生かしたハイブリッド設計に関する考察を進めた。組み合わせる材料の価格については,比較的低価格なガラス繊維材やバサルト繊維材をベース材料にすることを考えた。本年度は,各種繊維材の引張試験を繊維含有率を考慮して実施し,繊維含有率と引張強度の関係を明らかにするとともに,複数種類の連続繊維材を積層したハイブリッド繊維材の引張試験結果を取り纏め,破断ひび割れ,繊維長手方法の局所すべりに関する静的破壊メカニズムに関する考察を進めた。そして,樹脂硬化された連続繊維の破断過程,破断繊維の衝撃による応力集中により生じた過大な応力変動と大きな強度低下を定量的に評価する手法の構築に着手した。一方,各種繊維材の引張クリープ試験に着手し,やや引張クリープ試験データの蓄積に乏しいバサルト繊維材について,他の繊維材に引けを取らない引張クリープ耐久性を有していることを示唆するデータが得られた。また,コンクリートに接着する補強技術を研究対象としていることから,一定のアルカリ耐久性が求められるため,耐アルカリ腐食試験を実施した。その結果,エポキシ樹脂等により含浸,被覆された繊維材についてはある一定のアルカリ腐食耐久性を有していることを示唆するデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,各種繊維材の引張試験を繊維含有率を考慮して実施し,繊維含有率と引張強度の関係を明らかにするとともに,複数種類の連続繊維材,主にバサルト繊維材,ガラス繊維材,炭素繊維材,PBO繊維材を積層したハイブリッド繊維材の引張試験結果を取り纏め,破断ひび割れ,繊維長手方法の局所すべりに関する静的破壊メカニズムに関する考察を進めた。また,上記の引張試験結果を基に,破断過程,破断繊維の衝撃による応力集中により生じた過大な応力変動と大きな強度低下を定量的に評価する手法の構築に着手した。さらに,各種繊維材の引張クリープ試験に着手し,やや引張クリープ試験データの蓄積に乏しいバサルト繊維材について,他の繊維材に引けを取らない引張クリープ耐久性を有していることを示唆するデータが得られた。コンクリートに接着する補強技術を研究対象としていることから,一定のアルカリ耐久性が求められるため,耐アルカリ腐食試験を実施した。その結果,エポキシ樹脂等により含浸,被覆された繊維材についてはある一定のアルカリ腐食耐久性を有していることを示唆するデータが得られた。以上のように,ハイブリッド連続繊維緊張材の開発に向けた基礎データの取得について,ある程度達成できたと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,複数種類の連続繊維材を積層したハイブリッド繊維材の引張試験結果を取り纏め,破断ひび割れ,繊維長手方法の局所すべりに関する静的破壊メカニズムに関する考察をより詳細に進める。また,本研究で対象としている補強技術では,補強材にクリープ荷重が長期的に生じるため,引張クリープ挙動に対する考察を進めることが重要である。次年度以降,ここに力点を置いて研究を進めたい。 本年度,FRP ケーブルをコンクリート表面に接着の形式のケースにおける付着強さの実証実験,並びに付着強さを向上させる方法,具体的には緊張材の接着部周辺への連続繊維シート接着や,鋼板接着・アンカーボルト固定による補強の他に,能動的な解決手法として段階的な緊張解放による接着端部の省力化方法や先にFRP シートを接着しておき接着面積を増加させる方法の有効性を実験的に検討し,解析的研究結果と併せて,定量的な設計手法を纏める。 さらに,緊張装置の開発については,以前,共同研究を行っている企業と共同で開発した緊張装置はかなり大きな固定部を有しており,緊張材の接着端部が支点と離れてしまうため,緊張応力に加えて曲げモーメントの影響も受けやすくなることや,重量が大きすぎ,装置の移動に難があることといった課題があった。そこで,本研究では,固定アンカーを接着端部の定着アンカーとして使用する形状にすることで,緊張装置のスマート化と接着端部の定着が同時に実施できる緊張装置を開発することを考え,本年度から開発に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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