2012 Fiscal Year Research-status Report
既設鋼橋の複合構造化によるリニューアル手法の提案とその実証的検証
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24760372
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Research Institution | Railway Technical Research Institute |
Principal Investigator |
谷口 望 公益財団法人鉄道総合技術研究所, その他部局等, 研究員 (90318791)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 維持管理 / 鋼橋の延命化 / 予防保全 / 複合構造化 / 施工性 |
Research Abstract |
近年,既設鋼鉄道橋の耐疲労性向上を図ることを目的として,コンクリートによる複合構造化の研究が多く行われている.ここで,既設鋼橋にコンクリートを用いる場合に問題となるのは鋼部材との付着である.鋼部材とコンクリートとの界面に剥離が生じると,形状によっては水が鋼部材表面に回り込み,腐食が生じて,補修が困難な断面欠損を生じてしまう恐れがある.さらに,鋼部材との付着が切れた場合には,コンクリートの剛性の寄与がなくなり耐疲労性の向上は期待できないと考えられる. そこで,既設鋼鉄道橋にゴムラテックスモルタルによる被覆を用いて速硬軽量コンクリートを付加することにより,施工性に配慮した上で,耐荷力向上,耐久性(耐疲労性および耐腐食性)向上を図る手法を開発した. 平成24年度の実施事項としては,前述の提案形式を実証するために,実際の鉄道用橋梁を想定した模型による要素試験体を製作する.実際の鉄道橋においては,縦桁横桁連結部に損傷が多く発生する事から,この部分に着目した試験体を2体作成した.本製作にあたっては,実際での施工を想定した施工試験も実施した.この施工試験を実施することにより,実際の供用中の橋梁に対しても,施工が可能であることを確認できると考えている.また,要素試験体の製作後は,載荷試験を実施し,鋼部材に生じる局所的な応力集中を,コンクリートにより緩和できることを確認した.また,載荷試験を終局時まで実施することにより,実際の活荷重作用時にはこの応力集中の緩和効果が十分に維持できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模型載荷試験の結果,十分な応力集中の緩和効果が得られることを確認できており,材料の見直しは必要ない結果となっている.したがって,鋼橋の予防保全や延命化には目途が立ったと考えている.今後の課題としては,コスト比較や騒音低減効果の予測などが考えれられるが,平成25年度に検討を行う予定であるため,現在までの達成度としては,(2)おおむね順調に進展している,とした.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の検討結果を受け,残りの課題に対して検討を実施する.内容としては,試験結果を受け,解析的な検討を実施し,効果の定量的な予測手法(設計手法)を開発することである.また,得られた成果を積極的に公表しアピールすることで,今後の実用化等道筋をつけたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究がおおむね順調に推移していることから当初の計画通りの使用を予定している.研究で解析的な研究を行うために5万円を計上している.また成果を学会(国際会議含む)で公表するために,35万円(国内旅費10万円,海外旅費15万円,論文投稿費用等10万円)を見込んでいる.
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