2013 Fiscal Year Research-status Report
空間経済システムにおける輸送拠点・産業集積の同時形成メカニズムに関する研究
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24760415
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高山 雄貴 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (90612648)
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Keywords | 空間経済学 / 集積の経済学 / 輸送規模の経済 |
Research Abstract |
本研究の目的は,輸送拠点の形成・強化と産業・人口集積を同時に扱う理論を構築することである.そのために,大きく次の3つのphaseに分けて研究を実施する. [phase 1] 新経済地理学の枠組みに輸送規模の経済を導入した新たな経済モデル (基本モデル) を開発する.そして,Akamatsu et al. (2012) による分岐解析手法を用いて,そのモデルの一般特性を明らかにする. [phase 2] 基本モデルを輸送費用構造の異なる複数産業の枠組みに拡張する.そして,理論・数値解析を併用し,その基本特性を明らかにする.その結果から,階層的な産業立地・輸送パターンが形成されるメカニズムを解明する. [phase 3] phase 2 の拡張モデルに確率的要因を導入した大規模な集積経済モデルを構築する.そして,安定均衡解の特性を網羅的な数値実験により調べ,階層的かつべき乗則に従う都市・輸送システムが創発するメカニズムを明らかにする. 本年度は,前年度に構築した基本モデルを基盤に,複数種類の産業が存在する集積経済モデル・階層的な空間構造 (輸送費用) を考慮した集積経済モデルを構築し,その特性を明らかにした.その結果,1) 労働者の移住費用が階層的な空間構造を創発させ得る,2) 階層的な輸送費用構造は,輸送費用減少に伴う再分散現象など,従来研究では全く知られていない多様な空間集積パターンを創発させる,ことが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した3つのphaseのうち,本年度はphase 2をほぼ完了させた.また,昨年度実施したphase 1の成果を学術雑誌に掲載させることもできた.さらに,昨年度予定したように,phase 3の基本となる,確率的要素を導入した集積経済モデルの特性を明らかにする研究も進展させることができた. 以上の内容は,当初計画のphase 2のみでなく,次年度分の計画の一部を含むものであり,今後のさらなる研究進展を見込むことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,研究計画にあるphase 3を完了させる.そのためには,大規模な数値実験を系統的に実施する必要がある.それを効率的に実施するために,京都大学のスーパーコンピュータを利用するなどし,数値計算に要する時間を大幅に削減することで,研究計画を順調に進められるようにする予定である.
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Research Products
(8 results)