2012 Fiscal Year Research-status Report
朝市の量的・質的データによる類型化および地域資源に向けた魅力と課題の構造分析
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24760417
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森本 剣太郎 熊本大学, 沿岸域環境科学教育研究センター, 特定事業研究員 (10437915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 朝市 / 地域資源 / 地域おこし / まちづくり / 構造分析 / 質的データ / 量的データ |
Research Abstract |
本研究の当初計画では,初年度は①郵送による全国一斉アンケート調査を実施し現状の朝市状況を知る定量データを収集し,多変量解析などを駆使し朝市特性の類型化を行い,個々の朝市の位置付けを明示すること,②質的データを取得するため現地調査を集中的に実践し,次年度の特性・課題の抽出する目的にむけて朝市の細かい特徴を抽出することを計画していた.平成24年度の研究を計画通り実施したが,①の郵送によるアンケート調査の有効回答数が予定より少なく多変量解析などの分析結果では,期待した特徴を見出すことができていない.このため平成25年度でも引き続き郵送アンケート調査を実施し,データ収集を行う予定にある.②質的データの集取については,『大規模』朝市の3箇所と『小規模』朝市の2箇所を踏査し,入り込み状況や季節変遷に伴う出品物の旬,客の入り込みや出店店舗数の変動,アンケート調査やヒアリング調査を実施した.特に,『大規模』朝市の3箇所は,客入りが「減少」,「停滞」,「増加」と異なり,ともに隣接する3県であることから季節性を同一に見ることができ出品物等に顕著な差異がないと判断できる.特に3つ朝市は,現代のニーズに合った広大な駐車場を構えているが,駐車場との一体性や手軽さが客入りを左右しているようであり,今後も引き続き分析を行う.また,朝市組合代表・委員や行政へのヒアリングより,組合組織の構成員,組織体系,行政のバックアップ体制や協力関係などが,朝市運営の方向性に大きく依存しているように思われ,これまでにも朝市の組合や広報,行政協力について調査してきたが,再度,まちおこし側の行政やNPO等の視点などからもう一度見直す必要性を感じ本年度追加調査する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり,①郵送によるアンケート調査の回収回答が必要数を満たしていないため,①調査の目的である朝市特性による類型化が単純な結果となり,本来であればより個性的な朝市の特徴・魅力・課題が抽出できたはずであるが不十分な結果となっている.引き続きアンケート調査を実施し,回収回答数の増加を見込み,朝市特性の抽出を達成する必要がある.②調査の目的である質的データの収集は,今年度の研究目的である朝市の魅力と問題について構造分析等を行うために読み解く材料であり,これまで十分な解説材料を得ている.本研究の最終目標は持続可能な朝市運営のビジョンを明示することであるが,質的データの収集を通して,朝市運営母体である朝市組合や朝市を地域おこしの一つとして支援する行政や関連団体と協力関係の手続きや太さなどが,運営ビションの決定を左右するものと思われ,朝市組織および支援・関係団体との接触のあり方を見つめなおす必要があると思われた. このように現在までの達成度は,②の質的調査は十分な成果を得ているものの,①のアンケート調査による量的調査の数量が足りていない状況から,昨年度の実績達成度は8割程度である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針は,当初計画通り,朝市の魅力と問題点について構造分析を行う予定である.具体的には,類型化した朝市グループの魅力と課題のキーワードを抽出し,再度アンケート調査を通してDEMATEL法などによる構造分析を図り,個々の朝市の位置付けと魅力と問題点のキーワードや起因要素が定量的に特定する.これによって朝市のビジョンを明瞭に指し示し,今後の地域資源としての朝市の存続や発展に向けた提案を行う予定にある. また,昨年度の①郵送によるアンケート調査の有効回答数が少ない理由として,郵送した調査票が宛先不明などの理由により未開封のまま戻ってきたものが多いことや,朝市の代表者や関係者に直接,調査票が届いていない状況が多発しているようであった.このため本年度の追加アンケート調査では,朝市を支えている身近な行政,観光団体,地元NPOなどからの協力を求めてアンケートの有効回答数を増やす予定である. 昨年度の②質的調査より朝市組合組織などが朝市運営や地域おこしとの関連を左右しているように見受けられたため調査を行う予定にある.特に,最終的に朝市特性に合わせた運営ビジョンを明示することを最終目的としているため,根本の組合組織などを追求することは道理にかなっている. 今年度は最終年でもあるため,当初研究計画通りの計画に加えて,前年度のアンケート有効回答数の回収と朝市運営組織などのヒアリング調査を予定しているが,本研究テーマの最終目標である,『朝市の類型化に伴う魅力・課題の抽出と今後の存続・発展に向けた持続可能な朝市の地域振興策の提示』が優先されることであり,当初計画通りと前年度アンケート調査の有効回答数の回収を励行し,運営組織のヒアリングは副次的課題と位置づける.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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