2013 Fiscal Year Annual Research Report
非定常波動音響シミュレーションを利用した残響室法吸音率の補正
Project/Area Number |
24760469
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
富来 礼次 大分大学, 工学部, 准教授 (20420648)
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Keywords | 残響室法吸音率 / 有限要素法 / 波動音響数値シミュレーション / 拡散音場 / 面積効果 |
Research Abstract |
本研究では、建築材料の吸音性能を評価する最重要の指標の一つである残響室法吸音率について、近年急速に発展している波動音響に基づく非定常音場シミュレーションを駆使し、次の2項目の実施を目指した。1. 残響室法吸音率測定値の変動要因と測定誤差の関係の明確化、2. 残響室吸音率補正手法の開発と適用範囲の検証 研究期間を通じてそれぞれ以下のような成果が得られた。 1. 残響室法吸音率測定値の変動要因として、室形状、周波数、測定試料の寸法および吸音率に着目し、それぞれを変化させた計72種の音場に対し非定常波動音響シミュレーションを実施し、残響室法吸音率を算出した。なお、この際、試料には局所作用を仮定し、シミュレーションで試料に与えた材料定数より算出した乱入射吸音率との差を誤差とした。その結果、試料の吸音率が高くなると誤差が増加すること、誤差の大きさについては室形状により大きく異なることを明らかにし、それぞれの室形状毎の誤差の周波数特性を示した。 2. 試料の吸音率が高くなると試料へ入射する音のエネルギーに変化が生じる。そこで、1. の実施対象音場で測定室壁面へ入射する音のエネルギーのバランスを求めたところ、音場により大きく異なっていた。これをふまえ、このバランスに着目した音場の分類を行うとともに、音場の減衰曲線へ計算された上記バランスを考慮した補正を行い、補正した減衰曲線を用いた残響室法吸音率も算出した。その結果、1. の実施対象のうち測定誤差が大きくなった音場は、試料の吸音率が高く測定時間後期に試料への音の入射が減少することで誤差が生じる音場が多く、補正により平均0.15の改善が見られた。 これらの結果について国内学会(日本建築学会大会学術講演会,九州支部研究発表会)および研究会(日本音響学会建築音響研究会)で発表し、議論した。
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Research Products
(5 results)