2013 Fiscal Year Research-status Report
建物の長寿命化を実現する維持改修プロセスに関する研究
Project/Area Number |
24760486
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
江口 亨 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (60599223)
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Keywords | リノベーション / 社会的ネットワーク / 政策 / 工業化住宅 |
Research Abstract |
平成25年度の実績について、2つの研究の観点から概説する。 第一に、建物の「寿命を決定づける社会的な影響因子」について説明する。 まず、イギリスのロンドンにおけるコンバージョンに対する政策の調査を行った。これにより、ロンドンの8つのバラ(行政区)における都市計画等の担当者へヒアリングを実施し、コンバージョンに対する政策手法を把握した。 次に、東京都の東日本橋地区においてこの数年増加傾向にあるリノベーション物件を対象とし、その入居者への聞き取り調査を行った。これにより、社会的ネットワークがリノベーション物件の増加との関連性について考察を行った。 最後に、北九州市小倉で実施される「リノベーションスクール」へ参加し、リノベーションを実践している実務家や研究者との意見交換を行った。 第二に、「建物の物理的な分割の有効性」について説明する。CLASPに代表される1960年代から盛んに建設されたイギリスにおける工業化技術を用いた学校を対象とし、その現状を把握する調査を行った。大量生産とプランニングの柔軟性を両立させる技術として着目された工業化という手法では、建物をどのように分割して生産するかという視点が重要であった。この調査では、その変遷を把握することを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「寿命を決定づける社会的な影響因子」に関する研究は、概ね順調に調査を実施することができた。平成26年度には、これまでの調査結果をもとに、分析や考察に重点を置き、研究のまとめを実施する。 一方、「建物の物理的な分割の有効性」に関する研究は、平成26年度に重点的に調査を実施する。具体的には、リノベーションにおける多能工の可能性を検討するにあたり、工事現場での人工調査を行う。これにより、スケルトンインフィルに代表される建物の分割手法の有効性を、施工の面から検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は研究の最終年度として、これまでの調査結果をまとめる作業に重点をおく。具体的には、学術論文の投稿を行い、研究成果のまとめを図る。また、今年度に重点的に調査を実施する、リノベーションの多能工に関する調査については、初年度の調査結果を踏襲することで、効率的に研究成果をまとめるよう計画する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度には、旅費として20万円の前倒し請求を行った。その理由は、平成26年度に実施する計画であった調査等が前倒しで実施できる見込みが立ったからである。結果として、そのうち約6万円を旅費として使用するに留まった。それは、前倒し請求を行った後に、調査対象の都合により計画の一部変更が行われたからである。 平成26年度に繰り越す研究費は、平成25年度に前倒し請求を行った額の一部である。すなわち、当初の計画に沿った研究を予定通りに実施するため、その使用にあたっての不都合はない。
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Research Products
(4 results)