2014 Fiscal Year Annual Research Report
地域特性に合わせた事前確定的基準と裁量的審査の相互関係に関する米加豪の比較研究
Project/Area Number |
24760501
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
堀 裕典 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (00614653)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オーストラリア / シドニー / パース / アデレード / 裁量的開発許可 / 開発協議 / デザインレビュー / 地方分権 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、アメリカ及びカナダ諸都市における裁量的開発許可制度及びデザインレビュー制度の運用実態に関する調査研究を優先し、論文の執筆までを行ったため、前年度行う予定であったオーストラリア諸都市ににおけるプレ調査を本年度実施した。プレ調査では、オーストラリア主要都市における制度分析を行ったのち、シドニー市、パース市における現地調査を実施した。
オーストラリアでは、連邦政府、州政府、地方自治体の3つの決定主体が存在し、本研究で対象としている開発許可に関しては、アメリカ同様、地方自治体での決定としている都市も見られるが、アデレード市、シドニー市、パース市等では、州政府と地方自治体で、両方の許可もしくはアドバイザリーボードの設置等を行い、どちらかが計画許可を行っていることがわかった。なお、上記3都市においては、開発事業費による閾値の設定により、その決定権者が決められており、パース市のように自治体政府と州政府の間で連携が取られ、効率的に開発が誘導されている場合と、アデレード市のように州の裁量性が大きく課題となっている場合も見られ、今後一層の詳細分析を行うことで、その権限の、より良いバランスを見出すことが可能になると考えられる。
以上より、本年度までに、日本、米国、カナダ、オーストラリア各主要都市の裁量的開発許可制度及びそれに類する制度の整理と運用実態を明らかにしてきた。米国では、地方自治体が決定主体として、ゾーニングを基本とし、特例的に裁量的許可制度を導入しているのに対して、カナダやオーストラリアでは、積極的に裁量的開発許可が使われていることがわかった。なお、カナダとオーストラリアでは、開発許可に関する州政府の関わり方に大きな差が見られ、地方分権という点からも、日本においてこのシステムから得られる知見は多いと考えられる。
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