2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
小粥 祐子 昭和女子大学, 人間社会学部, 助教 (60398708)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 唐紙 / 江戸城 / 武家屋敷 / 室内意匠 / 障壁画 / 柱間装置 / 文様 / 色 |
Research Abstract |
近世住宅の室内意匠において最も重要な要素は柱間装飾と天井の仕上げである。これまで近世住宅の柱間装飾と天井の仕上げに関する研究は障壁画に関するものが主であった。しかし、近世に入って時を経ると、障壁画にかわり唐紙が私的空間に限らず公的空間においても重要な装飾要素の位置を占めるようになるにも関わらず、唐紙の使われ方についてはあまり明らかになっていない。 そこで、本研究は近世住宅のうち武家住宅における唐紙の使われ方を近世文書および図面等による史料調査と近世住宅遺構の調査とから明らかにすることを目的としている。 史料調査は、①近世武家住宅に用いられた唐紙に関する記録文書、②近世に刷られた唐紙について行った。 ①近世武家住宅に用いられた唐紙に関する記録文書については、これまでに報告者が調査済みであった金沢城二の丸御殿関連史料と報告者が継続的に研究している江戸城本丸・西の丸御殿関連史料について再調査した。金沢城二の丸御殿については、本研究に直接的には関係しないが二の丸御殿の座敷飾りに関する新史料を閲覧する機会にも恵まれた。②近世に刷られた唐紙については、加賀藩の五代藩主であった前田綱紀が、様々な工芸品や美術品をコレクションした『百工比照』に収められている唐紙の写真帳を閲覧し写真資料を入手した。また、「京からかみ」「江戸からかみ」に関する文献資料を収集した。 近世住宅遺構の調査は、石川県、京都府の遺構において行った。石川県における調査では、唐紙を用いている事例を見出すことはできなかったが、報告者が想定していなかった柱間装飾の格付けを見出すことができた。京都府の遺構調査では、玄関のみに唐紙を用いられているものを見出した。これら石川県・京都府における近世住宅遺構の調査は、全ての遺構を調査したわけではない。次年度以降も、他の都道府県も含め引き続き調査をする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、熊本城二の丸御殿、金沢城二の丸御殿、小松城本丸御殿、江戸城本丸御殿・西の丸御殿における唐紙の用例について史料調査する予定であった。 このうち、金沢城、江戸城については、論文を執筆するのに十分な史料を揃えることができた。 しかし、熊本城については、その史料の多くを所蔵する熊本大学図書館が平成25年9月いっぱいまで耐震補強工事により閉館しているため、史料を調査することができなかった。このため、熊本への調査費用が次年度への繰り越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本研究の研究成果を学内の研究発表会で発表するに留まってしまったが、次年度は外へ成果を発信することができるよう、できるだけ研究に充てる時間を増やせるよう努力したい。 また、遠方への調査出張は本務との兼ね合いで自由に行くことはできないが、短期間であってもタイミングを見計らいすぎず積極的に行くようにしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、前年度に史料調査する予定であった熊本城本丸御殿に関する史料調査を10月以降に行う予定である。(今年度に史料調査する予定であったが、史料を所蔵している熊本大学図書館が耐震補強工事のため閲覧することができなかった。) また、当初の計画通り、真田城新御殿と今治城本丸御殿の調査を行う予定である。 このために、調査旅費を支出する。
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