2013 Fiscal Year Annual Research Report
層状構造を有する二次元遍歴電子系における新規機能性材料の探索
Project/Area Number |
24760534
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
太田 寛人 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60546985)
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Keywords | 電子・磁気物性 / 層状化合物 / 強磁性-反強磁性転移 / 巨大磁気抵抗効果 / 遍歴電子強磁性 |
Research Abstract |
本研究では層状構造を有する化合物において新規機能性材料の探索をおこなった。申請の段階ではコバルト酸化物とコバルトニクタイド層を有する化合物群の2つの物質群において探索を行う予定であったが、後者において大きな研究の進展があったため、コバルトニクタイド層状化合物について集中的に研究を行った。 コバルトニクタイド層状化合物の中で、LnCoAsO (Ln:ランタノイド)はCoAs層が遍歴電子強磁性を示し、一部の物質で更に強磁性-反強磁性転移を示すことが先行研究でわかっていた。本研究では層間距離が2倍となるSr2ScO3CoAsにおいて同様に強磁性秩序が実現することを発見し、これらの物質中では強磁性が層間距離によらず強固に実現することが明らかになった。 最終年度には強磁性秩序化するSr2ScO3CoAsのCoAs層間に局在磁気モーメントを挿入することを試みており、Sr2(Sc,V)O3CoAsにおいてLnCoAsOと同様に強磁性-反強磁性秩序が実現した。このことはLnCoAsOにおいても強磁性秩序化したCoAs層間に局在磁気モーメントが挿入されることが強磁性-反強磁性秩序が起きる必要条件であることを表しており、この相転移の発現機構に重要なヒントである。また強磁性-反強磁性転移点では巨大磁気抵抗効果が観測できると期待でき、磁化測定の結果からSr2(Sc,V)O3CoAsでは非常に弱い磁場で大きな磁気抵抗効果が得られると期待できる。 このように新規機能性材料として巨大磁気抵抗効果がより弱い磁場で期待できる層状化合物の探索に成功し、またこれまで未解明であった強磁性-反強磁性転移の機構の解明に大きな進展をもたらした。
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