2013 Fiscal Year Research-status Report
表面特性に立脚した高次ナノ構造制御による高活性酸化鉄系光触媒の開発
Project/Area Number |
24760556
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Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
角田 世治 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 工業総合研究所, 主任研究員 (50557808)
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Keywords | 光触媒 / オキシ水酸化鉄 |
Research Abstract |
本研究全体の目的は、オキシ水酸化鉄における光触媒活性と結晶形態の関連性から表面特性を解明し、この表面特性に立脚したナノ構造制御によって、高い光触媒活性を有するオキシ水酸化鉄光触媒を得ることである。 平成24年度では、オキシ水酸化鉄の多形(α、β、γ、δ型の4種)と活性の関連、さらに特定の結晶面と活性の関連が明らかとなった。平成25年度は、まず、この結果をふまえて前年度の合成法を改良、より有効に光触媒機能を発現しうる形状を有した粒子の合成を試みた。β、δ型では効果は薄かったが、α型オキシ水酸化鉄においてはその効果は顕著であった。α型オキシ水酸化鉄のロッド状粒子において、長軸の長さが短い粒子を合成して高活性の{021}面の面積を増やした結果、有機物酸化分解に対する光触媒活性を大きく伸ばすことに成功した。さらに、長いロッド状粒子であっても、合成時の添加物によって細孔を増し、表面積を増やすことで高い活性を示すα型オキシ水酸化鉄が得られることが判明した。これは、単位面積あたりの活性が大きく増すことから、単に比表面積増大によるものではなく、ロッド状粒子の表面積の大部分を占める低活性の{110}面の面積を減らす効果があると考えられた。γ型についても同様に、粒子形状変化による活性の向上が認められた 次に、オキシ水酸化鉄を無機材料表面に担持することによる高活性化を試みた。これは、光触媒粒子が固体表面に固定されることにより粒子同士が凝集することを防ぎ、活性な面をより効率的に利用することが狙いである。特にα型及びδ型オキシ水酸化鉄では、層状無機化合物(粘土鉱物)表面などに担持したところ、非担持の場合に比べ単位重量あたりの活性が高まることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度では、当初の計画通り4種類の多形を有するオキシ水酸化鉄について、その光触媒特性を多形、粒子形状、表面特性の観点から明らかにすることが目的であった。平成25年度は、前年度の結果をふまえた粒子形状制御、さらには固体表面への担持によって光触媒を分散させる手法により高活性光触媒材料を得ることを目的とした。その結果、いくつかの多形において形状制御により光触媒活性を高めることに成功した。また、当初予定していなかった細孔を増やすという手法によっても同様の効果が得られることも明らかになった。さらに、無機材料への担持によっても高活性化ができることが明らかとなり、平成25年度の計画は十分に実施できたといえる。 以上より、当初の計画通りの順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はおおむね順調に推移したことから、今後も計画通りに推進する方策である。 平成26年度では、異種材料との複合化による高活性化と新機能の発現について検証する。これは、前年度までに得られた光触媒材料の表面機能を強化するものであり、高活性化と同時に新機能の発現が期待できる。これは主に助触媒担持と異種光触媒との複合化の2種類の手法によって行う 助触媒担持では、特定面における活性を高めることを狙いとし、前年度までに得られた光触媒表面に貴金属類等の助触媒を担持する。担持には光電析といった活性面に直接に担持可能な手法を用いる。 もう一つの手法では、前年度に行う無機材料への担持法を応用し、異種光触媒との複合化を行う。複合化によって電荷分離を促進すると共に、オキシ水酸化鉄側は活性の高い反応(酸化反応または還元反応)のみを担うようにし、効率的な光触媒反応を引き起こせるようにするのが狙いである。 上記の手法により、光触媒活性の向上を検証するが、助触媒担持や複合化においては新たな機能が発現する可能性がある。そのため、前年度までの光触媒反応に加え、水の酸化還元(完全分解)やその半反応についても活性を検証する計画である。
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Research Products
(5 results)