2014 Fiscal Year Annual Research Report
表面特性に立脚した高次ナノ構造制御による高活性酸化鉄系光触媒の開発
Project/Area Number |
24760556
|
Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
角田 世治 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 八戸地域研究所, 主任研究員 (50557808)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 光触媒 / オキシ水酸化鉄 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、昨年度までに合成したオキシ水酸化鉄光触媒をベースとし、これに助触媒や異種光触媒材料を複合化することによる高活性化、多機能化の可能性を検証した。 その結果、オキシ水酸化鉄に金属助触媒を担持すると、有機物酸化分解活性が向上することが判明した。特にPtやPdを担持したオキシ水酸化鉄は、非担持の倍の高い活性を示した。これまでの結果から、オキシ水酸化鉄における有機物酸化分解反応の活性は、励起電子による系内の酸素還元反応の速度に大きく影響されると考えられており、助触媒の担持はこの反応の速度を改善するものと考えられた。 次に、異種光触媒材料を複合化した場合の活性の変化を検証した。この複合光触媒は、それぞれの粉末材料を混合した後に加熱処理を施すことで作成し、その活性は可視光照射下における色素分解によって検証した。オキシ水酸化鉄と、TiO2、WO3などの組み合わせでは単独で用いるよりも活性が低下した。一方、銅酸化物(Cu2OやCuO)と組み合わせた場合は、単独使用に比べ数倍以上の高い活性を示した。光触媒複合化は、電荷分離効果によって再結合を防止し、高活性化を図るものである。しかし、必ずしも活性が向上するわけではなく、その混合比率によっても活性は上下した。複合化においても、高性能材料の創成のためには構造的視点から詳細な機能性解明が必要であると考えられる。 以上のように、本事業では、オキシ水酸化鉄光触媒を用い、高活性な結晶面及び粒子形状を特定し、高性能な光触媒材料を得た。また、異種材料の複合化による高性能化の可能性も見出した。この結果は、光触媒粒子の構造と活性の関連性の解明がより高性能な光触媒材料の創成に不可欠であることを示すと共に、太陽エネルギーの有効利用の観点から近年需要が高まっている高性能可視光応答型光触媒の開発に、一つの指針を与えると期待される。
|
Research Products
(3 results)