2013 Fiscal Year Annual Research Report
優れた水素吸放出特性を発揮する共連続構造マグネシウムナノコンポジット材料の開発
Project/Area Number |
24760566
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
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Keywords | マグネシウム / コンポジット / デアロイング / 水素吸蔵 |
Research Abstract |
平成25年度はMg/X(X=Ti,Fe,Crなど)共連続コンポジット試料の組織に及ぼす合金化の影響を調べるとともに、それらの水素吸蔵放出特性を調べた。 Mg/X共連続コンポジットにおいてXにMoなどを微量添加することで複合組織を微細化できることが分かった。このように元素を添加して共連続組織が微細化する理由は、添加元素の拡散への影響によるものと考えられる。Moなどの元素は単体の融点が高く、かつ原子サイズが大きいため、これらを添加することによって合金の融点が上昇し、かつ原子サイズのミスマッチによって拡散に大きな活性化エネルギーを要するため原子の移動が困難になると考えられる。この結果、デアロイングによって共連続構造を形成する際の原子の移動が狭い範囲に制限され、より微細な共連続コンポジット構造を形成すると考えられる。 本研究で得た約500~1000nm程度の組織特性長を有するTi/Fe共連続コンポジットはバルク形状にもかかわらず1MPaの水素雰囲気で10K/minにおいて400℃まで加熱すると容易に水素化された。一方で、比較試料として用いた市販純Mg粉末(粒径250ミクロン)は同条件下において、全く水素化できなかった。次に、水素化した試料を加熱して水素の放出温度を調べた。その結果、1MPaの水素雰囲気下における水素の放出温度は約300℃であり、文献で報告されている値とほぼ同じであった。これらの結果から、本研究で得たMg/Fe共連続ナノコンポジット材料では試料に多量に含まれる界面が水素の高速拡散パスとなるため水素が試料深部にまで浸透し水素化の反応速度を大きく向上させると考えられる。一方で、当初予想していた共連続構造によって生じる拘束が水素吸放出温度へ及ぼす影響はほとんど見られなかった。
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