2012 Fiscal Year Research-status Report
水熱合成による4,5,6族を用いた固体酸複合酸化物の合成
Project/Area Number |
24760635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村山 徹 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教 (60583531)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 複合酸化物 / 水熱合成 / 固体酸 |
Research Abstract |
Mo3VOx触媒に有効であったユニット合成手法を,4,5,6族の元素に適用した.対象とする元素は,Mo,W,V,Nb,Ta,Ti,Zrとし,水熱条件下における複合酸化物の合成を行った. ユニット合成法の知見を基に,まず前駆体材料にMo-V-O合成に有効であったアンモニウムヘプタモリブデート((NH4)6Mo7O24・4H2O)を参考にアンモニウムメタタングステート( (NH4)6(H2W12O40)・nH2O)などのポリ酸とVOSO4,NH4(NbO(C2O4)),Ta2O5などの酸化物の組合せを検討した.これら前駆体の濃度比の適切化や水熱条件の適切化等の合成条件を変化させることにより結晶化の向上を試みた.その結果,W-Nb,W-Ta,W-Ti,W-Zr,Mo-Nbにおいて共通の22°および46°にX線回折ピークを与える複合酸化物が得られた.この回折ピークは調製した酸化物が積層構造を有することを意味している.さらに,Ta前駆体としてTa lindqvistを用いると,W/Ta比が広い範囲で積層構造を有する複合酸化物が得られた.合成した複合酸化物を,Raman分光法および吸着実験,TPDにより解析を行ったところ,これらはMO6(M=W,Ta)のアセンブリから形成される,これまでに報告のない複合酸化物を形成していることが示唆された. 得られた複合酸化物を,ピリジン吸着を利用した赤外分光法や,アンモニアTPDにより酸性質を評価し,さらにアルキル化,アルコールの脱水反応を利用した酸触媒反応によって固体酸触媒活性を評価した.その結果,W-Nb,W-Ta,W-Tiの組み合わせによる複合酸化物が強いブレンステッド酸性を有し高い固体酸活性を示すことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の目的は,種々の前駆体を用いた複合酸化物の合成及び固体酸性質の評価にあった. このうち,W-Nb,W-Ta,Mo-Nbの組み合わせにおいて,水熱合成条件下における複合酸化物の合成に成功し,さらには4族の元素を含めたW-Ti,W-Zrの合成も可能であることが分かった.W-NbにおいてはさらにV元素を添加することにより,固体酸機能を有しかつ酸化能を有する触媒として,グリセロールからアクリル酸合成に有効な触媒として作用することが分かった.W-Tiからなる酸化物においては,イソブチルアルコールの脱水に100℃程度の低温でも反応が進行することが分かった.これらの触媒の調製および反応例は,これまでに報告のないものである. 次年度の計画を合わせて,クラスターユニットから高次の3次元固体形成の観点を組み合わせることにより,さらなる物質群の形成が期待できる結果が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行った知見を基に,結晶性の向上,細孔構造の形成,固体酸性質の発現について,前駆体を工夫し合成条件を検討する.具体的には,種々のポリオキソメタレート前駆体を利用した複合酸化物合成を行う 金属酸化物クラスターユニットを前駆体に用い,高次の3次元固体構造構築行うことで,前駆体溶液における結晶形成ユニットの合成が可能と考えれる.そこで,異なる前駆体ユニット合成の検討を行う.ケギン型,アンダーソン型,ドーソン型,リンドクビスト型のポリ酸を合成した上で前駆体として用いる.また,ポリ酸のカチオンもアンモニウムイオンではなく,メチルアンモニウムなどを配位したアルキルアンモニウム塩を合成単離し前駆体に用いることを工夫する.この前駆体は,結晶形成ユニットを保持しつつ,有機アミンによる鋳型効果により結晶のa-b方向への成長促進が期待できる.また,合成溶媒を種々検討することにより高温高圧下での各種金属酸化物ユニットの安定性と結晶析出の速度をコントロールし,ユニットのネットワーク形成の促進を行い,各元素に有効な複合酸化物合成法を確立する.合成した複合酸化物は,キャラクタリゼーションを詳細に行い,固体酸触媒の酸性質の評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に生じた未使用額については,平成24年度3月に購入した消耗品の支払いに充てる.
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Research Products
(23 results)