2012 Fiscal Year Research-status Report
高次ナノ構造の特性を活かした機能集積型触媒材料の精密設計と応用
Project/Area Number |
24760640
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
亀川 孝 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50525136)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 高次ナノ構造体 / 三次元階層構造 / メソポーラス材料 / マクロポーラス材料 / 多孔性シリカ / ナノ触媒 / シングルサイト / 遷移金属酸化物種 |
Research Abstract |
本研究では、高次ナノ構造、すなわち、三次元規則的なマクロ細孔構造とメソ細孔構造を併せ持つ多孔性シリカの調製時に、鋳型材料として用いる球状高分子微粒子のサイズの精密制御、種々のヘテロ原子を含有した前駆体溶液の組成・粘度の最適化などを行うことで、エコロジカルな物質変換に適した機能集積型触媒材料の設計に取り組むと共に、ナノ構造と触媒・光触媒反応特性の関係について検討した。具体的には以下の項目を段階的に行った。 (1) 球状高分子微粒子の合成条件の検討とサイズの異なる粒子の鋳型材料としての利用、前駆体溶液の組成・粘度の制御による合成条件の最適化により、単核のヘテロ原子としてアルミニウム、チタン、クロム、スズ種などを骨格内に導入した高次ナノ構造多孔性シリカを調製した。窒素吸脱着、走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡測定より階層的なナノ構造の解析を、固体核磁気共鳴やX線吸収微細構造測定より骨格内に導入した金属種の局所構造の評価を行った。 (2) 導入した金属種の性質に基づき、酸触媒反応、オレフィンの選択酸化反応、光触媒反応などにおける触媒活性を評価した。いずれの反応系においても高次ナノ構造の構築により触媒活性が向上した。特に、サイズの大きな分子の関わる反応系にて高い活性を示すことを見いだした。高次ナノ構造は三次元規則的なマクロ細孔構造と、極めて厚みの薄いメソ多孔性シリカ骨格より構成されるため、比較的サイズの大きな反応基質や生成物の細孔内外への拡散性が向上し、触媒活性点が効率的に機能したと推察される。 鋳型材料を用いたナノレベルでの構造制御は、多孔性材料をベースとする触媒の反応活性に影響を与える。得られた知見を基に、来年度はナノ構造触媒としての特性をより詳細に調べると共に、構造・機能を活かした触媒担体としての応用を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次ナノ構造体、すなわち、三次元規則的なマクロ細孔構造とメソ細孔構造を併せ持つ多孔性シリカの『構造』、『機能』、『特性』を活かした機能集積型触媒材料の設計と応用に取り組んでいる。本年度は、特に、ヘテロ原子として高次ナノ構造多孔性シリカの骨格内に単核のアルミニウム、チタン、クロム、スズ種などを含有した試料の調製、キャラクタリゼーション、および各原子に特徴的な触媒・光触媒反応を実施した。調製法を確立すると共に、酸触媒反応や選択酸化反応において比較的サイズの大きな分子の関与する反応系にて高い反応活性を呈することを明らかにした。また、触媒・光触媒材料としての利用に留まらず、サイズの比較的大きな色素分子などの吸着除去剤としての応用についても同時に検討し、その有効性が明らかになりつつある。 当初の目標に向けて概ね順調に、実験計画に従い研究が進展している。継続して研究に取り組むことで、期待どおりの成果が達成できると見込まれる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究より得られた知見をもとに、高次ナノ構造を利用した触媒材料、機能性材料の設計・開発と機能の探索に継続して取り組む。活性な金属触媒調製において各種担体上でのサイズ・形状制御は不可欠であり、担体の構造・機能も非常に重要な因子になると推察される。また、白金やパラジウムなどの金属ナノ粒子は自動車用排ガス処理触媒、医薬・農薬などの合成用触媒に用いられる実用性の高い触媒であることから、金属ナノ粒子の担体としての高次ナノ構造多孔性シリカの応用を進める。その機能・特性評価を通し、省金属に資する高活性な金属担触媒材料の開発に取り組む。また、各種分光学的手法による試料のナノ構造、触媒活性点の局所構造、金属ナノ粒子の電子状態、分散状態などの解析も併せて実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
|
Research Products
(19 results)