2013 Fiscal Year Research-status Report
病原性阻害技術への応用を目指した高機能アシル化ホモセリンラクトン分解酵素の探索
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24760643
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
諸星 知広 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90361360)
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Keywords | クオラムセンシング / アシル化ホモセリンラクトン / 好熱菌 / 耐熱性酵素 / ラクトナーゼ |
Research Abstract |
多くのグラム陰性細菌は、アシル化ホモセリンラクトン(AHL)を介したクオラムセンシングにより病原性発現を制御しており、AHLを人為的に分解することで、クオラムセンシングの活性化が抑制され、病原性発現を阻害することが可能である。昨年度の研究で、好熱性細菌Thermaerobacter marianensisのゲノム上に既知のAHL分解遺伝子(aiiT)と相同性の高い遺伝子が存在し、実際にAHL分解遺伝子として機能することが明らかとなった。本年度は、他のThermaerobacter属細菌にaiiT相同遺伝子が存在するか解析を行ったところ、T. nagasakiensis及びT. compostiゲノム上にaiiT相同遺伝子が存在することが明らかとなり、アミノ酸配列はそれぞれ95%以上同一であることが明らかとなった。また、AiiTのAHL分解機構を詳細に解析するため、大腸菌発現用にコドンを最適化し、マルトース結合タンパク質(MBP)との融合タンパク質として発現させ、アミロースレジンカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーによりAiiTタンパク質を精製した。精製したAiiTによりAHLを分解し、分解産物の構造をHPLCを用いて解析したところ、AiiTはAHLのラクトン環部位を加水分解して切断するAHLラクトナーゼとして機能することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の当初計画では、新規AHL分解酵素のタンパク質発現系を構築し、酵素機能を解析することを計画してきたが、実際にこれらの計画通り新規AHL分解酵素がAHLラクトナーゼとして機能することを明らかにし、さらに、他のThermaerobacter属細菌からも相同遺伝子のクローニングに成功し、より広範囲の環境からの探索も行えた。以上より、当初計画に沿って順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新規AHL分解酵素の至適活性温度や熱安定性について、さらに詳細な解析を行う。また、他の環境からも引き続き新規AHL分解細菌及び遺伝子のスクリーニングを行い、具体的には、植物共生細菌やヒト常在細菌なども視野に入れ、より広範囲な環境から新規遺伝子のクローニングを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に沿って計画的に経費を執行し、当初計画に記載した内容については順調に成果を上げることができたが、次年度以降に準備を進めている段階で、わずかではあるが端数が生じてしまった。 前年度の未使用額と合わせて、研究を遂行するために必要な遺伝子組み換え用試薬等の購入に充てるほか、9月以降に開催される日本生物工学会大会などに参加し、研究内容を広く公表するための出張旅費として使用することを計画している。
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Research Products
(3 results)