2013 Fiscal Year Research-status Report
アクリル酸グラフト繊維を用いた新規神経幹細胞培養技術の開発
Project/Area Number |
24760652
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
森 英樹 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30450894)
|
Keywords | 細胞培養 / 神経幹細胞 / 高分子繊維 |
Research Abstract |
本研究は中枢神経系をターゲットとした再生医療や創薬に役立つと期待される神経幹細胞の新規培養技術の開発を目的としている。神経幹細胞が未分化を維持したまま接着できる繊維を作製し、繊維に接着した状態の神経幹細胞を培養にすることによって、細胞間相互作用を維持したまま効率良く培養することが研究の狙いである。 初年度にはポリアミド繊維表面にγ線照射によるラジカル反応を利用してポリアクリル酸のグラフト鎖を形成させ、さらにカルボジイミドを用いてコラーゲン分子を修飾したが、神経幹細胞の接着、増殖といった点で良い条件が得られなかった。そのため、今年度も細胞の接着、増殖性を改善するためにポリアミド繊維への修飾条件の検討をおこなった。そこで、更に効率良く細胞が接着し、増殖するタンパク修飾条件を得た。接着培養した細胞の分化状態を判断するために、接着細胞凝集塊の切片を作製し、免疫染色によるポピュレーション解析をおこなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
繊維材料表面へのグラフト鎖導入およびタンパク質修飾に関して初年度で検討しきれなかった研究項目を今年度におこなった。ポリアクリル酸およびポリビニルアルコールのラジカル重合条件やタンパク質修飾条件の改良によって細胞の接着、増殖が改善された。また、免疫染色法によって蛍光染色された神経幹細胞、神経細胞やグリア細胞のポピュレーション解析によって繊維材料表面に接着した細胞のおおよその割合を知ることができた。しかし、線維表面に接着した細胞凝集塊の整った凍結薄切サンプル作製の難しさや顕微鏡撮影装置の不具合が生じたため、研究予定であった細胞の分布解析までに至らず、今年度の研究計画の9割程度の実施になった。そのために今後延長して研究を実施していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
繊維材料表面に接着した細胞凝集塊の凍結包埋条件の改善により、細胞状態の良い凍結切片を作製し、細胞凝集塊中における神経幹細胞およびその分化細胞、増殖細胞の分布について詳細に解析する。また、培養に増殖した細胞全体の分化・未分化マーカー遺伝子の発現解析も行う予定である。最終的には、これまでに得られた結果をもとに論文にまとめ、学術雑誌に投稿する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画当初に購入予定であった顕微鏡の購入を見送ったために残額が生じた。年度内にすべての解析を終えることが難しくなったので、研究期間を延長し、ひきつづき繊維材料表面に接着、増殖した細胞の分布解析、さらに研究成果を発表する必要がある。 今年度の研究費残額はすべて次年度の物品費及び旅費として使用する予定である。
|