2013 Fiscal Year Research-status Report
深海環境における光学屈折特性の補償法と深海画像計測に関する研究
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24760684
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
石橋 正二郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋工学センター, 技術研究副主幹 (90371731)
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Keywords | 海洋探査機・機器 / 光学センサ / 画像補正 |
Research Abstract |
前年度に製作したカメラシステム(光学センサユニット+制御装置+照明装置)において当該光学センサユニットをステレオ配置し、同じく前年度構築したカメラモデルを用いたステレオ演算システムの効果を評価試験において検証した。また、同システムにより得られたステレオ視映像を適用したモザイクシステムを構築し、その機能性を評価試験において検証した。両試験結果より、当該各システムの効果及び実用性を確認した。 撮影時におけるカメラ方位(撮影方位)及び姿勢(撮影姿勢)情報を外部センサより取得する系統を設計し、当該カメラシステムにて取得した画像とセンサ情報を同期記録する機能を構築した。その一方、移動体(海中探査機等)が搭載している外部センサの仕様に左右されることなく本研究を進捗させることを考え、制御装置内部に超小型の姿勢検出センサを新たに組み込み、これにより外部センサを要することなく電源供給以外は完全に独立したカメラシステムとした。これにより再構築されたカメラシステムの新機能(撮影画像の姿勢補正(座標変換))の精度を評価試験において検証し、その効果を確認した。 上記機能を新たに組込むカメラシステムを台車に搭載し陸上試験を実施し、生成されたモザイク画の精度を確認した。同様に同カメラシステムを用いた水槽試験を実施し、生成されたモザイク画の精度、及び描画ソフトウェアの実用性を確認した。また本システムのステレオマッチング性能及びモザイクマッチング性能を検証するために、別システムにて撮影された海底画像を用いたシミュレーションを実施し、光学センサユニットと照明装置の最適使用条件を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
S/Wコーディングにて得られる機能を構築し、これを評価することは予定通り出来た。一方、構築したシステムの性能を実海域にて評価する(実海域試験を実施する)ことを目的としたが、船表および当該システムを搭載する予定であった移動体(海中探査機)の仕様とスケジュールの都合により、これを実施するための機器調整、通信I/F及び電源I/Fの再構築が間に合わなかった。そこで、一部H/W構成、システム仕様を変更することにより、実海域試験への汎用性の向上を図った。これにより、陸上、水槽において、あらたに構築したS/W機能、H/W機能の確認を詳細に実施できたため、最終年度において実海域試験を実施するための準備を整えることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は実海域におけるデータ取得を第一の目的とする。これより得られたリソースを評価、検証し、機能・アルゴリズムの最適化を図る。同時に、実海域での評価試験への汎用性を考慮し、カメラシステムの電源I/F及び通信I/Fの改良に努める。前年度の各試験結果を基に当該システムを調整し最初の海域試験を実施し、その結果を踏まえて実海域仕様の調整を行う。複数の海域試験を行うことにより、当該システムの実用性を向上させ、深海環境における光学屈折特性を補償し、かつ高精度なステレオ視計測を実現するシステムを完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の実施にあたり、当初予定していた海域試験において当該システムを搭載する移動体(海中探査機)の使用が困難となったため、急遽、システム仕様を変更する必要が生じた。そのため、手持ちのセンサを制御装置内部に組込むことにより、搭載する移動体からの航法情報を要することのないシステム仕様に再構築した。この仕様変更に伴う作業に本年度の大部分の時間を費やしたが、一方で当該作業には別途物品購入の予算が生じなかったため、個人労力のみにおいて本研究開発を進捗させることが可能となった。そこで、当年度の予算を次年度に繰り越し、仕様変更後のシステムを用いて、速やかに海域試験に移行するための、通信I/F、電源I/Fの製作、及び各調整作業に当該予算および労力を費やす。 先ず、海域試験を実施するため、搭載する移動体に応じた通信I/F、電源I/Fを製作することに予算を充てる。次に当該試験に要する各物品購入に予算を充てる。これにより海域試験を速やかに実施し、得られた結果を基にシステムを修正・再構築し、再び海域試験において当該システムの効果を検証し、また得られた成果を学術発表することに予算を充てる。
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