2012 Fiscal Year Research-status Report
安全性向上の観点からの核融合発電プラントシステム設計最適化
Project/Area Number |
24760704
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
後藤 拓也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30509518)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核融合炉システム設計 / 安全性 / 設計パラメータ最適化 |
Research Abstract |
平成24年度は、研究計画に基づきプラントシステム解析コードの整備、特に炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルの開発を行った。具体的には、核融合科学研究所大型ヘリカル装置(LHD)での実験結果に基づき、固体水素ペレットによる燃料供給を模擬できるヘリカルプラズマの準1次元粒子・エネルギーバランスモデルを構築し、炉心プラズマの線平均電子密度を基準としたフィードバックにより自己点火燃焼条件への到達およびその定常維持が原理的に可能であることを確認した。これまでヘリカル系プラズマについて、プラズマの密度・温度分布の影響を考慮した運転シナリオ解析はまだ実施されておらず、開発した炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルは単体の解析コードとしてもヘリカル核融合炉設計において有用であり、今後の設計活動での活用が期待される。 この炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルと既存のシステム設計コード、トリチウムバランス解析モデルの連成作業については、運転シナリオ解析モデルの開発に予定より時間を要したためまだ完了していないが、コード間での変数名の統一やモジュールの整理など、統合に向けた各コードの改良作業が進んでいる。また、これらの改良作業を通じ、各コードが単体の解析コードとしても他コードの解析結果の反映が可能なものとなった。これによりトリチウムバランスを考慮したシステム解析、炉心プラズマパラメータを意識したトリチウムバランス解析等、過去の同様の解析コードでは行われなかった解析が可能であり、これも今後の設計活動での活用が期待される。 なお、並行して実施する計画であった熱流動計算実行環境整備については、予定していたベンチマーク計算には至っていないが、3次元CADおよび熱流動計算ソフトウェアの専用計算機への導入を終え、基本的な動作確認が完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度計画の柱であった炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルの構築中に、当初用いていた拡散係数推定モデルに不備があり、核融合燃焼プラズマで想定されるパラメータ領域への外挿した場合にパラメータ領域によっては計算結果の物理的妥当性に問題が生じることが判明した。この点については既にモデルを見直すことで解決し、運転シナリオ解析モデルへの組み込みも完了しているが、このモデルの見直し作業および見直し後のモデルの妥当性チェックに時間を要したことおよび、このモデル構築が職務であるヘリカル核融合炉概念設計活動においても重要な役割を占めておりその完成が急がれたこともあり、結果として平成24年度はこの炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルの構築作業にほぼ専念する状況となった。このため熱流動計算環境整備についても、当初予定していたベンチマーク計算にまでは至っていない。 ただし、平成24年度については炉心プラズマ運転シナリオモデルの構築が最重要課題であり、その構築作業が順調に進んだこと、また当初計画の段階からその後に予定されているブランケットシステムデータベース構築とプラントシステム解析コードによる設計解析については平成25年度、26年度の2年間で行うこととなっていることから、最終的な研究目標の到達度については当初計画で想定していたものを達成できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初計画で平成24年度中の達成を予定していたシステム設計コード、トリチウムバランス解析モデル、炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルの統合によるプラントシステム解析コードの構築作業にまず取り組む。既に各コードの基本部分の構築は完了しているが、並行して職務として行っているヘリカル核融合炉概念設計活動の一環としてシステム設計コードの改良作業を行っており、炉心プラズマ運転シナリオ解析モデルについても、より実態に即した制御方法を表現できるよう計算コードの改良を予定しているため、その作業を終えた段階で統合を行う計画である。 熱流動計算については、まずはベンチマーク用のモデルの作成とベンチマーク計算に取り組む。当初計画では平成25年度中に少なくとも一種類のブランケットシステムについてデータベースの構築を終えプラントシステム解析コードへの組み込みを行い、設計領域解析の予備解析を開始する計画であり、この計画通りの作業を進展させることを目標とする。しかし、当初計画にもある通りデータベース構築が完了せずとも設計領域解析は可能であるため、設計領域解析の進め方についてはデータベース構築作業の進展状況を見ながら柔軟に対応する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度研究費に生じた残額については、購入した計算機および学会参加費として想定していた経費の額が予定と異なったために生じたものであり、残額が少額であり当研究課題執行に必要な物品購入・旅費・諸経費としての支出に充当することが困難であったため、平成25年度の経費として繰り越させていただいた。 これについては、平成25年度の諸経費として充当し、当初申請予算額と併せて使用する計画である。
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