2014 Fiscal Year Annual Research Report
使用済核燃料中の核種非破壊分析への中性子共鳴吸収法の適用に関する研究
Project/Area Number |
24760714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀 順一 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30362411)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中性子共鳴 / パルス中性子源 / 非破壊分析 / 核燃料物質 / 即発ガンマ線 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、使用済核燃料体に含まれる核種を迅速且つ非破壊で定量するための技術として、パルス中性子源を用いた中性子共鳴吸収法の適用を検討し、その有効性を検証することを目的としている。 中性子共鳴吸収法では、パルス状の白色中性子ビームを十分に絞った形で被検体に照射し、透過中性子を中性子飛行時間法(TOF法)を用いて測定することにより、核種固有の共鳴エネルギーにおける透過中性子数の変化量(中性子吸収量)から分析対象核種の実効厚さを定量する。本研究では、測定対象核種をindicatorとしたSelf-indication法という新たな分析手法を開発した。Self-indication法とは、被検体に対して中性子ビームの下流側に分析対象核種から成る高純度のindicatorを設置し、indicatorから放出される反応生成物(中性子捕獲ガンマ線等)を計測することによって、間接的に透過中性子のエネルギー分布を測定する手法である。本手法を適用することにより、被検体の放射能の影響を受けることなく、測定対象核種の共鳴エネルギーの中性子を選択的に高感度で測定することが可能となるため、従来の透過中性子測定に比べ信号対ノイズ比が大きく改善し、使用済核燃料のように多数の共鳴核種が存在している混合分析試料に対しても高い定量能力を有することを実験及び計算によって検証した。 最終年度はこれまで得られた成果について論文投稿を行い、査読付き出版物として公表した。さらに、使用済MOX燃料中のPu-239の定量に本手法を適用した場合の測定可能範囲についても概算した。今後は可搬型定常中性子源を用いた非破壊分析に本手法を組み合わせることによって、より実現性の高い簡便な核種定量法についても検討する予定である。
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