2013 Fiscal Year Annual Research Report
クリプトクロム/DNA光回復酵素ファミリーの光反応機構の解明
Project/Area Number |
24770151
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩田 達也 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20569917)
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Keywords | DNA修復 / 光回復酵素 / フラビン / 光産物 |
Research Abstract |
本研究では、進化的に近縁であるが異なる機能をもつクリプトクロム(CRY)/DNA光回復酵素(PHR)ファミリーを対象として、DNA修復活性の発現に必要な要素を明らかにし、反応機構を解明することを目的とする。PHRには、シクロブタン型ピリミジンダイマー(CPD)を修復するCPD-PHRと(6-4)光産物を修復する(6-4)PHRが存在する。平成25年度は、CRY-DASHと名付けられたCRYを鋳型として、二本鎖DNAの損傷を修復するDNA光回復酵素への機能転換を試みた。 シアノバクテリア由来のCRY-DASHは生体内の機能は不明であるが、試験管内において一本鎖DNAの損傷(ssCPD)を修復することが報告されている。一方、二本鎖DNA中のCPD(dsCPD)には結合しない。そこで、dsCPDを結合させることができればdsCPDを修復する酵素(すなわちCPD-PHR)に変換できるのではないかと考えた。CPD-PHRのアミノ酸配列、結晶構造を参考にしてdsCPDの結合に重要だと思われるトリプトファンとメチオニン残基をCRY-DASHに導入した。これまで当研究室ではフーリエ変換赤外(FTIR)分光法によるCPD修復を計測する手法を確立していたので、FTIR測定を行ったところ、トリプトファン残基を導入した変異体がdsCPDを修復できることがわかった。 この変異CRY-DASHをDNA修復能を欠失した大腸菌に導入してCPD修復能を調べたところ、大腸菌内でCPDを修復する結果は得られなかった。これは、変異CRY-DASHのdsCPDに対する親和性が低いせいであると推察された。FTIR測定では高濃度のタンパク質と基質の条件で行っていることから、両者の親和性が低くても変異CRY-DASHがdsCPDを結合して修復したのに対し、大腸菌内ではCRY-DASHとdsCDPが結合するには十分な濃度ではなかったせいで効果が現れなかったと考えられた。
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