2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞質中のRAF分子の構造分布解析による細胞状態の定義と細胞応答の操作
Project/Area Number |
24770161
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
日比野 佳代 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (40435673)
|
Keywords | 細胞内情報処理機構 / RAF / 細胞動態計測 / ライブセルイメージング / 蛍光スペクトル計測 / FRET / 蛍光プローブ |
Research Abstract |
本研究では,細胞内情報伝達反応が収斂する因子の一つ “RAF” 分子の構造を指標に,細胞の増殖,分化,生存,ガン化の応答を左右する細胞状態を定義する.この定義を指標に,細胞状態を操作し,外部刺激に対する細胞の応答を予測および制御する. これにより,細胞の増殖,分化,生存,ガン化の運命の決定機構を明らかにすることが目的である. 本年度は以下の2点を中心に実施した. 1,RAFの構造分布を指標にした細胞状態の操作.RAF分子の構造分布を変調する細胞操作を探索するため,以下の3処理を試みた.a)細胞の事前刺激 b)RAFのキナーゼの活性調節によるRAFのリン酸化状態の操作 c)RAFのリン酸化部位への変異導入.これらのうち,b,cにおいてRAF分子の構造分布を変調するための有効な方法を発見し,昨年度の成果と合わせ,現在,論文を執筆中である. 2,細胞内1分子可視化解析法を他の情報処理タンパク質に応用.本研究で確立してきた細胞内1分子可視化解析法の一部をRas-MAPK経路の他の情報処理タンパク質の解析に応用した.また,可視化解析法を総説として発表した. これらの研究成果を学会,研究会,シンポジウムで発表し,多くの反響を得ている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
妊娠・出産・育児にともなう休業などのため,当初の計画よりやや研究の実施が遅れることが予想されたため,研究計画の見直しを行い,同時に研究実施期間の延長を行った.現在は新しい計画にもとづき,研究を実施中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度構築した顕微鏡システムや細胞状態と細胞応答の相図を用い,次年度は新しい研究計画に沿って,すでに基本部分を構築した細胞の状態操作を実施し,細胞応答を制御することを目指す.同時に,細胞状態を規定する細胞内外の要因を特定することにも取り組む. 効率よく,また,滞りなく新しい研究計画を遂行するため,必要に応じて研究支援アルバイトなどを利用する.支援内容として, 1,生物試料の準備のための,細胞培養および遺伝子工学実験. 2,生物試料の評価のための,細胞生物学および生化学および分子生物学実験. 3,ルーチンワーク化している画像処理および画像解析などを依頼する. 本研究の最終目的である細胞応答の確率的な性質を規定する基本原理の解明や,細胞応答の予測や制御は,細胞のガン化機構の解明や,ES細胞やiPS細胞を用いた再生医療の発展の基礎となる重要な課題である.これらの分野に貢献できるよう,遅延のないよう研究を実施する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
妊娠・出産・育児にともなう休業などのため,当初の計画よりやや研究の実施が遅れることが予想されたため,研究計画の見直しを行い,同時に研究実施期間の延長を行った. 次年度は,すでに基本部分を構築している”細胞の状態操作”を実施し,細胞応答を制御することを目指す.同時に,細胞状態を規定する細胞内外の要因を特定することにも取り組む.具体的には,昨年度開発した顕微鏡装置を用いて大量の細胞試料の計測,および解析を行う.そのため,細胞試料の調整や蛍光プローブの準備に必要な試薬や消耗品を中心に使用する.また,実験条件にあわせて光学系を最適化するための光学素子を導入する. 効率よく,また,滞りなく新しい研究計画を遂行するため,必要に応じて研究支援アルバイトなどを利用する.
|
Research Products
(4 results)