2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質中のRAF分子の構造分布解析による細胞状態の定義と細胞応答の操作
Project/Area Number |
24770161
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
日比野 佳代 独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (40435673)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞内情報処理機構 / RAF / 細胞状態 / 細胞操作 / 細胞内1分子計測 / 1細胞計測 / FRET |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内情報伝達反応が収斂する因子の一つ RAF分子の構造分布を指標に,上皮細胞の増殖、分化、生存、ガン化の応答を左右する細胞状態を定義する.この定義を指標に、細胞状態を操作しながら細胞培養し、外部刺激に対する細胞の応答を予測および制御する.これにより、細胞の増殖、分化、生存、ガン化の運命決定の機構を明らかにすることが目的である.今年度は以下の研究を中心に「細胞状態の操作による細胞応答の予測と制御」に取り組んだ. 1,細胞状態の操作に必要な基礎的情報として,RAF分子の構造を指標にした細胞状態が,細胞毎に固定された性質か、可変かを明らかにする必要がある.そこで,細胞状態を検出しながら培養し,細胞状態の継続時間(細胞状態の記憶時間)や遷移後の細胞状態をしらべるための計測系を確立した.RAFの構造の検出には,開発済みのFRETプローブを用いている. 2,この計測系を用いて,細胞状態の遷移を検出することに成功した.また,細胞状態を検出しながら、細胞外液などの細胞培養条件を変調することで,状態操作を実現した.本研究で確立した細胞状態と細胞応答の関係を示す相図にもとづき,操作後の細胞の刺激応答を予測した.その後、細胞に外部刺激を与え、応答予測の検証を行った.その結果,10%以下の細胞ではあるが,予測と異なる応答が観測されることが明らかになった.この結果は,予測の信頼度を向上させるため,細胞状態の定義や状態と応答の相図の更新の必要性を示している.なお,現在の問題点と今後の改善策は明確になっている. 以上により目的の一つ「細胞状態の操作による細胞応答の予測および制御」の一部を実現した.これらの研究成果を学会,研究会,シンポジウムで発表し,多くの反響を得ている.本研究で確立してきた細胞内1分子可視化解析法を総説として発表し,さらに,今年度の研究成果を加え,論文発表準備中である.
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Research Products
(5 results)