2014 Fiscal Year Research-status Report
菌根菌を活用したツツジ科果樹の低投入環境保全型栽培技術の開発
Project/Area Number |
24780022
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
伴 琢也 東京農工大学, 農学部, 准教授 (20325046)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ツツジ科果樹 / ブルーベリー / hair root / エリコイド菌根菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
島根県松江市,京都府京丹後市,群馬県みどり市,東京都八王子市,新潟県新潟市に自生するナツハゼを3個体ずつ選び,根系に共生する内生菌根菌相を調査した.その結果,子嚢菌門および担子菌門,グロムス門に属する内生菌の存在が確認された.最も検出数の多かった子嚢菌では,ERM菌を含むOidiodendron属やビョウタケ目の菌が多く検出された.担子菌門では,その多くが外生菌根菌として知られるイグチ目やベニタケ目に属する菌が検出された.また,主にアーバスキュラー菌根菌(以下,AM菌)によって構成されるグロムス門では,グロムス属の菌が検出された.スノキ属植物とAM菌の共生関係に関する報告は非常に少ないが,Koskeら(1990)はハワイに自生するスノキ属植物がAM菌と共生していたことを報告している.平成25年度の調査では,ナツハゼの根内にAM菌の嚢状体様の器官が観察されたが,本研究の結果と併せると,ナツハゼがAM菌と共生することが強く示唆された. 島根県を調査対象地とし,キシツツジとヤマツツジの根系をサンプリングした.根系を顕微鏡で観察したところ,表皮細胞に多数の内生菌類の菌糸コイルが存在していることが明らかになった.さらにこれら根系から接種試験用の菌類を単離した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度内に本邦に自生するツツジ科果樹の根系に共生する菌類の基礎的知見の収集および条件不利地域に自生するツツジ科植物の根系に共生する菌類のサンプリングが完了した.また平成27年度に実施予定のブルーベリー無菌苗に対するエリコイド菌根菌の接種試験実施態勢も整っていることから「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
ブルーベリーの根系発達を促進する我が国在来のエリコイド菌根菌の探索を目的として,平成26年度に条件不利地域に自生するツツジ科植物の根系から単離したエリコイド菌根菌をブルーベリーの無菌苗に接種し,苗の成長特性を画像解析により調査する.平成24年度から27年度に実施した調査をとりまとめ,我が国に分布するエリコイド菌根菌を活用した低投入型のブルーベリーの栽培技術を提言する.
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Causes of Carryover |
最終年度である平成27年度においてブルーベリーの根系調査に必要な備品および消耗品,ツツジ科植物の自生地土壌の解析に必要な備品および消耗品,これら調査の実施に必要な謝金,成果発表に必要な予算を確保したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度(最終年度)において,ツツジ科植物の根系調査と自生地土壌の調査に必要な機器,試薬類,およびブルーベリーの無菌苗の購入と研究協力者への謝金の支払いを予定している.また9月および来年3月に学会参加を予定しており,これらに関する旅費を計上している.年度内に成果を取りまとめて論文投稿する予定にしており,この経費も計上している.
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