2015 Fiscal Year Research-status Report
トルコギキョウ温度環境応答解析に基づいた花弁形成機構の解明
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24780037
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
川勝 恭子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 野菜花き研究部門花き遺伝育種研究領域, 主任研究員 (60581733)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トルコギキョウ / 花弁 / 層数 |
Outline of Annual Research Achievements |
花弁層数に温度が与える影響を昨年度までに明らかにしてきたが、代表品種での実験結果がトルコギキョウ栽培品種に普遍的であるか否かを確かめる必要があった。8品種について新たに温度反応性を調査したところ、いずれも低温による花弁増加効果が認められた。また昨年度までに1花蕾あたり何日間の低温処理が花弁数を増やすために必要であるかを報告していたが、複数の花序段についての低温必要日数に関する知見はなかった。そこで段別に蕾長を計測し各温度域における成長直線を得ることで、位相を明らかにした。 次に花弁枚数に影響する温度以外の因子を探索し、植物ホルモンの一種が花弁枚数を増やす効果をもつことを見出した。その効果は温度と完全には独立ではなく、日平均気温20℃までにおいては低温ほどホルモンによる花弁増加効果が高いという結果を得た。一方で同一温度におけるホルモン濃度の効果を検証したところ、ある濃度を超えると効果が低下した。 花弁の大きさも温度の影響を受けることを昨年度までに報告していたが、本年度は花弁の大きさに影響する遺伝因子を明らかにすることを目的に解析を行った。自殖化の進んだ複数のEustoma grandiflorumとEustoma exaltatumについて、花弁の大きさを評価し有望系統を選抜した。花弁の大きさに隔たりのある2系統を交配し、F2種子を得た。それらについて土耕栽培及び水耕栽培を行い、花弁長並びに花弁幅を調査した。全個体から葉片をサンプリングし次年度に行う解析の試料を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花弁層数を制御する遺伝子の探索を申請時の目標としていたが、平成26年度に行ったLMDのRNAクオリティーが芳しくなかったこと、育児休業による研究中断中に別の研究者により花弁総数を制御する1因子が同定されたことから、当初の予定を変更して、花弁の大きさに関わる遺伝因子の同定に焦点を当てた実験を行うこととした。この課題については概ね順調に進展しており、次年度に向けた解析材料を平成27年度に準備することができた。また平成27年度には温度以外の因子が花弁枚数に影響を与えることを見出したので、全体としては概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に取得した試料からDNAを抽出し、花弁の大きさを制御する遺伝因子の探索を行う。また両親系統の温度反応性について調査する。
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Causes of Carryover |
平成27年度には、平成28年度に使用するための材料作成に時間を要したため、分子生物学的実験が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、平成27年度にサンプリングした100個体分を超える葉片からDNAを抽出する必要があるため、計上している研究支援要員の雇用費を予定通り使用予定である。また多検体の塩基配列解読に必要な試薬ならびに経費を物品費から支出予定である。
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