2012 Fiscal Year Research-status Report
特定食品成分の摂取によるTRP受容体を介した糖質エネルギー代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
24780131
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
森 紀之 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助手 (90585184)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | TRPチャネル / 糖質代謝 / allyl isothiocyanate / インスリン / 呼気ガス |
Research Abstract |
近年、肥満や糖尿病など糖質エネルギー代謝不良に起因する疾患が増加しており、早急な対応が望まれる。食品摂取により糖質エネルギー代謝の改善が可能となれば予防対策としての意義は大きい。そこで本研究では、エネルギー代謝と深い関係があると考えられるTRP受容体に着目し、特定食品成分の摂取による糖質エネルギー代謝調節機構を解明することを目的としている。これまでの検討で食品成分由来のTRP受容体の活性化成分であるアリルイソチオシアネート(AITC)の投与により、糖質代謝が亢進される事が明らかになっている。そこで生体内において糖質代謝が亢進される作用機序の検討として、糖質代謝に関連する液性因子の変動を確認したところ、AITC投与によりインスリン分泌が促進される事が明らかになった。インスリン分泌においてはAITCの受容による交感神経系を介した分泌機構と膵臓への直接作用による分泌機構との両方が存在することが示された。糖質代謝亢進への神経系の関与についてはアドレナリン受容体阻害剤を用いた検討によりアドレナリンβ受容体を介した交感神経系の活性化機構の関与が示唆された。これらの結果よりAITCが交感神経系を活性化することで作用効果器に作用し糖質代謝が亢進される機構とAITCの消化吸収後、内分泌器官などで直接作用効果器に作用し糖質代謝が亢進される機構との両方が存在することが明らかになった。さらにノックアウトマウスを用いた検討から、それら受容機構にTRPV1受容体の関与が示唆されている。これらの成果は、食品摂取によるTRP受容体を介したエネルギー代謝調節機構、特に糖質代謝調節の解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では糖質代謝が亢進する効果器部位の特定ならびに効果器部位へのシグナル伝達経路の特定を行うことを目的としていた。 筋肉、肝臓などの効果器部位と考えられる器官での糖質代謝変化についての検討はまだはっきりとした結果が出ていないものの、おおよそ結果が見えてきている状態である。効果器部位へのシグナル伝達経路の特定は液性因子と神経系に分類した検討を行い、両方の観点からの全体像をつかんでいる。従って研究は概ね予定通りに進んでおり、今後は当初の研究予定通りTRPV1受容体の関与を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、TRP受容体によるAITCの受容部位の特定のためTRP受容体アンタゴニストの局所投与による検討などを行う。作用機序の検討の後、AITCと同様の作用機序での糖質エネルギー代謝の亢進が期待できる食品成分の検索を行う。他の食品成分による糖質エネルギー代謝の亢進へのTRP受容体の関与を明らかにし、他の食品成分への応用の可能性を示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を遂行したため当初の見込みの額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(3 results)