2013 Fiscal Year Annual Research Report
「生活細胞一定の法則」に基づく自己間引きの法則の再検討
Project/Area Number |
24780155
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
井上 昭夫 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (80304202)
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Keywords | 森林科学 / 自己間引き / 樹幹表面積 / 3/2乗則 / 生活細胞一定の法則 / 樹幹表面積一定の法則 / 人工林 / 林分密度 |
Research Abstract |
わが国におけるスギとヒノキの人工林を対象として,過密林分における樹幹表面積と林分密度との関係について解析した。地域や樹種の違いに関係なく,過密林分における平均樹幹表面積は林分密度の逆数に比例することがわかった。このことは,単位面積あたり樹幹表面積合計が林分密度によらず一定となることを意味する。このような面積保存則を「樹幹表面積一定の法則」と名付けた。 樹木の場合,樹幹の内部は死細胞によって構成されており,生活細胞は樹幹表面付近にのみ存在するため,樹幹表面積と生活細胞との間には比例関係が予想される。このことより,上述した樹幹表面積一定の法則は「生活細胞一定の法則」の成立を示唆しているものと考える。すなわち,単位面積あたりに生存できる生活細胞の量は,林分密度とは無関係な上限が存在するものと予想できる。 生活細胞一定の法則を出発点とすると,樹幹表面積と生活細胞との比例関係より,樹幹表面積一定の法則が成り立つ。樹幹表面積一定の法則より,平均樹幹表面積は林分密度の逆数に比例する。このとき,平均樹幹表面積が平均幹材積の2/3乗に比例するならば,自己間引きの3/2乗則が導かれる。また,平均樹幹表面積が平均幹材積の3/4乗に比例すると仮定すると,West, Brown and Enquistによる自己間引き曲線(WBEモデル)を得る。 このことより,樹幹表面積一定の法則(あるいは生活細胞一定の法則)は,自己間引きの法則の出発点と考えて良いのかも知れない。以上の成果により,森林計画学賞を受賞した。
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