2013 Fiscal Year Annual Research Report
クロマグロ仔魚にとっての魚食の重要性の解明:大量種苗生産によるアプローチ
Project/Area Number |
24780197
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
田中 庸介 独立行政法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 主任研究員 (70454626)
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Keywords | クロマグロ / 魚食性 / 安定同位体比 / 耳石 |
Research Abstract |
クロマグロは生活史初期にプランクトン食から魚食へと食性が転換する。本研究では,本種仔魚の魚食性への転換が,その後の成長や生き残りにとって,どのような役割をはたすのかを飼育技術を活用して明らかにすることを目的とする。平成25年度では,(1)種苗生産水槽からのサンプリング,摂餌履歴と成長履歴の分析,(2)餌料仔魚の給餌密度,に関する分析および飼育実験を行った。 (1)2012年に引き続き,2013年行った種苗生産1事例にて餌料仔魚給餌開始時,給餌開始3日後,5日後に,生残魚と死亡魚を約50尾ずつ採集した。扁平石を摘出した後,窒素安定同位体比(δ15N)を個体ごとに分析した結果,生残魚のδ15Nは死亡魚よりも有意に高い値を示した。また耳石輪紋解析からは死亡魚の成長率は生残魚の成長率より低い可能性が示唆された。これら結果は,生残魚は速やかに餌料仔魚を利用し,高成長率を得ているのに対し,死亡魚は餌料仔魚を摂餌できず,十分な成長を得られず死亡することを示している。すなわち,魚食性の発現に関連して成長選択的な生残状況が飼育水槽内で生じていることが示唆している。 (2)餌料仔魚の給餌密度がクロマグロ仔魚の成長と生残に与える影響を小型水槽実験により調べた。16日齢のクロマグロ仔魚を200L水槽に200尾ずつ収容し,餌料仔魚の給餌密度を0.01個体/ml,0.1個体/ml,1.0個体/mlに設定して7日間飼育した。その結果,餌料仔魚の給餌密度は生残率には影響するが成長にはあまり影響しないことが明らかとなった。また餌料仔魚の給餌密度0.1個体/mlで飼育すると生残率が比較的高く,好成績であった。
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Research Products
(2 results)