2013 Fiscal Year Research-status Report
農地の放射能汚染マップ作成モデル事業による風評対策と損害構造の解明
Project/Area Number |
24780207
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
小山 良太 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (60400587)
|
Keywords | 放射能汚染対策 / 原子力災害 / 吸収抑制対策 / 放射性物質分布マップ / 試験栽培 / 風評被害 / 食品中放射能検査態勢 |
Research Abstract |
本研究では、①農地の放射性物質含有量、土壌成分、土壌特性といった農地環境、②集水域の特徴、流量、用水特性、水田環境など用水環境、③後背山林地、沢水、里山など周辺環境、④作物ごとの吸収特性(放射性セシウム移行率)における物質循環系を放射性物質の挙動に注目し、環境要因を考慮した地域・作物ごとのリスク評価に関して各研究チームの知見を集積して分析を行った。農地の放射能汚染マップ作成モデル研究及び作物への放射性物質移行に関する試験栽培に関しては、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター(FURE)を中心に進めている(H23年5月~)。FURE産業復興支援部門と放射線対策担当とともに福島県内5つのモデル地域を対象に農地汚染マップの作成及び試験栽培を実施し、吸収抑制対策など現地での運用をモデル的に実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射能汚染地域に立地する研究機関で研究体制を構築したため、放射能汚染対策や放射性物質の挙動に関する研究成果を蓄積することが可能であった。また、放射性物資に関する実証研究は1圃場におけるミクロ的な研究が中心であるが、本研究では、山林、河川、集水域、里山、農地など物質循環系を念頭にフィールドを設定し、そのための研究組織を構築したことも円滑な研究推進に寄与している。 福島大学が調査研究および学生の学習活動等で連携してきた自治体を対象に実証研究を実施することにより、研究成果を被害地域へ還元し、普及する体制を自治体・関係団体と共に構築することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
放射性物質の混入リスクの発生を防止するための重要ポイントを2段階に分類し継続的に監視・記録する安全衛生管理手法を開発する。 第1段階は、放射性物質循環系の解明と営農段階へのリスク評価を基に、農地情報を一元化することである。現在作成している農地の汚染マップは汚染情報、位置情報を管理している段階であるが、ここに土壌成分や地質、用水を含む「営農環境」の影響評価も組み込む。農地一枚ごとの放射性物質分布の特定と併せて「土壌の成分分析マップ」を整備する。 第2段階として、第1段階のマップを基にした農地ごとの放射性物質の「作物への移行率」のデータベース化とそれに基づいた吸収抑制対策を分類する。農地の放射性物質の濃度と土壌成分等の栽培環境に加え、そこで栽培される作物の特性によって放射性物質の移行率が決まる。現場のデータを収集・分析することで、吸収抑制対策の影響も考慮に入れたうえで、将来の移行率を事前予測する仕組みを提示する。これにより、その圃場とそこで栽培する作物に合わせた吸収抑制対策(カリウム対策など)が適切に行われ、放射性物質が移行しにくい農業生産を行うことが可能となる。 生産段階から消費段階までの4段階リスク管理手法として整理し、この一連の流れを認証する仕組みを設計する。この認証制度について、日本学術会議福島復興部会での検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度である平成26年度に放射性物質分布マップ及び土壌成分マップの運用に関わる評価を地権者意向調査を実施することにより把握する必要が生じたため、評価がある程度定まった震災後4年目の平成26年度に実施を延長したため。 放射性物質分布マップ及び土壌成分マップの運用に関わる評価を地権者意向調査を実施し、関係機関とともに現実の運用上の課題を検討する。
|
Research Products
(18 results)