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2012 Fiscal Year Research-status Report

哺乳動物の精子先体形成を制御する分子ネットワークの解明

Research Project

Project/Area Number 24780327
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

兼森 芳紀  筑波大学, 生命環境系, 助教 (40529088)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsマウス / 受精 / 先体反応 / 精子形成過程
Research Abstract

精子の頭部には、先体とよばれる特殊な細胞内小器官がある。我々は最近、先体タンパク質の1つACRBP/sp32に着目し、その欠損マウスの作製した。興味深いことに、ACRBP欠損マウスの精子先体は、野生型の比べ異常な形態を示した。そのため、本研究ではACRBPを中心とした精子形成過程での先体形成の分子メカニズム解明を目的とした。平成24年度は、以下3項目の研究成果を得たため、その内容をBiology of Reproduction誌に発表した。
①精子形成細胞でのACRBPの存在:マウスACRBPには選択的スプライシングにより生じた2種類のバリアント(ACRBP-WとACRBP-V5)が発現している。それぞれの発現様式を詳しく調べたところ、ACRBP-Wはパキテン期精細胞と半数体精細胞で存在していた。このACRBP-Wは発現と同時にN末領域除去のプロセシングを受け、C末領域だけの成熟型ACRBP-Cに変換していた。一方、ACRBP-V5はパキテン期精細胞と球状精子細胞に存在するが、伸長精子細胞では消失していた。
②精子形成細胞でのACRBPの局在:作製したACRBP-WとACRBP-V5に対する特異的な抗体を用いて、精巣組織の切片や精巣上体精子での局在を調べた。その結果、球状精子細胞でACRBP-WとACRBP-V5は共に先体顆粒に集積していること、精巣上体精子ではACRBP-Cのみが先体に局在することが明らかになった。
③ACRBPとACRとの関係:ACRBPはセリンプロテアーゼACR/acrosinの結合タンパク質である。GSTプルダウン法でACRBPとACRの結合様式を調べたところ、ACRBPには2つのACR結合サイトが存在した。さらにACRBPがACRの自己活性化へ与える影響をみたところ、ACRBPはACRの自己活性化を促進することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ほぼ交付申請書に記した実施計画通りに研究が進み、その成果が国際的に評価されているBiology of Reproduction誌に掲載されたため。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題を今後さらに推進するため、平成25年度は以下の3項目の研究を行う。
① ACRBP結合タンパク質の同定と機能解析:ACRBP欠損の精子先体は、異常な形態である。この原因を調べるため、他の先体タンパク質との関わりを調べる。既知の先体タンパク質ZPBP1、ZPBP2、およびZP3Rに着目する。とくにZPBP2に関しては、その欠損精子がACRBP欠損精子とよく似た形態をしていることから、何らかの関わりがあることが予想される。これらのタンパク質のACRBP欠損精子での発現や局在を調べる。加えて、タンパク質間の結合を in vtro およびin vivoで調べる。仮に、ACRBP結合タンパク質が同定できない場合、最新のインタラクトーム解析により、TOF-MSを利用し結合タンパク質の同定を試みる。
② ACRBPトランスジェニック(TG)マウスの解析:GFPタグを付加したACRBP-WとACRBP-V5のTGマウスはすでに作製済である。このTGマウスを用いて、外来的なACRBP-WとACRBP-V5の精子形成細胞での発現と局在を調べる。また、ACRBP欠損マウスとTGマウスを交配させ、ACRBP-WとACRBP-V5のどちらが先体形成に重要な役割をもつかも調べる。
③TGマウスを利用した発展的研究:体外受精系でGFP-ACRBPのシグナルをライブ観察し、精子がいつ、どこで先体反応しているのかを調べる。最終的には、精巣体外培養の系でGFP-ACRBPを精子形成の1つのマーカーとして利用することで、精巣体外培養の系のさらなる効率の向上を目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

必要な設備備品類は、分子生物学・細胞生物学の研究で一般的に使用されるものであり、すでに所属研究室や本学遺伝子実験センターなどに現有である。したがって、使用研究経費のほとんどは消耗品費である。消耗品費に関しては、主に薬品(遺伝子工学用試薬および細胞培養用試薬など)やマイクロチューブ、ピペットチップなどのプラスチック製品、P32標識核酸の調整にラジオアイソトープが必要となる。また、主にマウス組織(精巣、精巣上体)を研究材料として用いるので、マウスの購入費や管理費も必要である。
旅費等に関しては、国内外での研究成果の発表や共同研究ための打ち合わせ経費が必要である。さらに、研究成果を学術論文として発表するために、論文校閲費と論文別刷り費等が必要である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Two Functional Forms of ACRBP/sp32 Are Produced by Pre-mRNA Alternative Splicing in the Mouse2013

    • Author(s)
      Yoshinori Kanemori, Jin-Hyeob Ryu, Mai Sudo, Yasushi Niida-Araida, Kunihiko Kodaira, Mika Takenaka, Nobuhisa Kohno, Shin Sugiura, Shin-ichi Kashiwabara, and Tadashi Baba
    • Journal Title

      BIOLOGY OF REPRODUCTION

      Volume: 88 Pages: 105, 1-8

    • DOI

      10.1095/biolreprod.112.107425

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Functional role of mouse ACRBP/sp32 in spermatogenesis and fertilization2012

    • Author(s)
      Jin-Hyeob Ryu, Mai Sudou, Yoshinori Kanemori, Shin-ichi Kashiwabara, and Tadashi Baba
    • Organizer
      第35回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場・マリンメッセ福岡
    • Year and Date
      20121211-20121214

URL: 

Published: 2014-07-24  

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