2013 Fiscal Year Annual Research Report
Brook転位を基盤とするカスケード型反応の開発とその応用
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24790008
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
湊 大志郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (80610914)
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Keywords | Brook転位 / Wittig反応 / カスケード反応 / ホスフィン / 炭素間結合形成反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、Brook転位を鍵とする有機分子の構造変換のための新たな方法論確立である。 シリル基が、分子内で炭素上から酸素上へ容易にアニオニック転位を起こす反応はBrook転位としてよく知られており、これにより発生するカルバニオンをうまく活用することができれば新規な分子変換法の開発に繋がると考えられる。 今回、ホスフィン求核剤を用いることで、シリル移動を鍵とする新たなカスケード型炭素間結合形成反応の検討を行った。これにより、β-シリル共役オレフィンとアルデヒドからシリルジエノールエーテルを高収率で与える新規カスケード型反応の開発に成功した。すなわち、β-シリル共役オレフィンに対してホスフィン求核剤を用いる際、1,4-Brook転位が起こることで対応するホスホニウムイリドを強塩基を用いる事なく生成でき、続くアルデヒドとのWittig型反応が連続的に進行するような、これまでにない新しいタイプの反応である。また、鍵となる分子内シリル移動により一方のオレフィン部位のE/Z選択性は完全に制御できており、このことは反応の新規性を特徴付けていると言える。本反応について、ホスフィンや反応温度などの検討を行うことにより最適な反応条件が得られ、様々なシリル基を持つ共役オレフィンやアルデヒドを用いた一般性の検討を行う事ができた。 さらに、上記方法論を用いた新たな反応の開発を検討した結果、アシルシランを基質とした1,2-Brook転位を経由する反応の端緒を見出すことにも成功した。
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