2016 Fiscal Year Annual Research Report
Revealing structural basis for development of a novel drug against multidrug-resistant HIV
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24790049
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
鈴木 薫 いわき明星大学, 薬学部, 客員研究員 (90382788)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HIV感染 / 抗HIV薬 / タンパク質 / 糖鎖 / レクチン / X線結晶構造解析 / 感染症 / 薬学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行のHIV/AIDSの感染予防薬は感染後に増殖を抑えるものであり、副作用が強いことや変異するHIVに対して効き目が無く、その為に新薬の開発が追い付かないなどの問題がある。増加するHIV感染を阻止するためには、感染予防薬の開発が必要である。我々はHIV感染を阻害し耐性株の出現を抑制できる新しいレクチン(アクチノヒビンと命名:AH)を発見し、感染予防薬の開発のための構造学的研究を行ってきた。AHはgp120(AHが標的とするHIV外殻糖タンパク質)のHMTGに結合することで、ウイルスの細胞への接着と進入を低濃度で阻害することが分かっており、これまでにAHと関連糖鎖α-1,2マンノビオース(Man2)、α-1,2-1,2マンノトリオース(Man3)、マンナイン(Man9)との複合体の構造解析を行ってきた。困難であったAHの結晶化に成功し、さらにX線結晶構造解析によってAHの立体構造を明らかにした。AHの立体構造は38個のアミノ酸残基から成る3つのセグメントが対称的に配置した環状の構造を形成しており、それぞれのセグメントには、糖鎖と結合するポケットがあることが明らかとなった。また、AHとMan2との複合体の結晶およびAHとMan3との複合体についても結晶が得られ、AH単体の構造解析で明らかにした第一(M1)、第二(M2)、第三(M3)の糖の存在が確認された。さらに、マンナイン(Man9)についても結晶が得られ構造解析を進めている。これらの構造解析と並行して、今年度はAHとgp120の結晶化に力を入れ、それぞれ沈殿しない条件を検討したが、X線回折に可能な結晶は得られていない。今後は、AHと糖鎖との結合特異性を向上させるための分子設計によるAH変異体を調整し、その変異体AHとgp120との複合体の結晶化およびX線解析を行い、AHを感染予防薬として改良するための構造基盤の確立を目指す。
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Remarks |
産休及び育休による中断から復帰し、実験室の配置換えもあり、先ずは試薬や器具類および実験装置等の整備などを行った。実験環境を整え実験を開始したが、結晶析出等にかなり時間がかかり、さらに子育てとの両立により時間を制限して行わなければならず、中断以前に比べて実験は上手く進んでいない。今後は、多方面から見て研究計画及び研究方法等について改めて検討し、本研究目的達成のために本研究を遂行する。
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