2012 Fiscal Year Research-status Report
血球分化を制御するクロマチン構造調節転写複合体の同定とその機能解析
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24790090
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
村田 拓哉 帝京大学, 薬学部, 助教 (00610106)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血球分化 / 遺伝子発現制御 / 転写 / クロマチン / 転写共役因子 |
Research Abstract |
本研究の目的は血球細胞分化過程における顆粒球分化を制御する転写因子C/EBPaのクロマチン構造調節を介した転写制御分子メカニズムを明らかにすることである。クロマチン構造調節を介した転写は、転写因子に加えてヒストン修飾酵素など転写共役因子群が転写複合体を形成して制御をおこなうことから、当該年度ではまずC/EBPaの未知転写共役因子の同定を試みた。 C/EBPa複合体取得のアプローチにはGST融合C/EBPaリコンビナントタンパク質と細胞の核抽出液を用いた複合体精製法を利用した。全長のC/EBPaリコンビナントタンパク質では十分な発現量が得られなかったため、C末端のDNA結合領域を欠損させたGST-C/EBPaΔZIPリコンビナントタンパク質を作製した。単球系前駆細胞株U937細胞を分画して取得した核抽出液とクロマチン画分によりGST精製をおこない、核抽出液、クロマチン画分ともにC/EBPa転写共役因子の候補となる相互作用因子をいくつか取得することに成功した。 C/EBPaの転写共役因子としてこれまでに同定されたタンパク質はヒストンアセチル化酵素など数種類のみでC/EBPaの転写制御における包括的な分子メカニズムはほとんどがわかっておらず、本研究のC/EBPa複合体精製により取得された相互作用因子を同定することで新規の転写共役因子を見出し、C/EBPaの分子メカニズムの一端が明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究実施計画ではC/EBPaの相互作用因子を精製により取得し、質量分析によりタンパク質の同定までを年度内に実施する予定であった。これまでにC/EBPa複合体タンパク質精製によるC/EBPa相互作用因子の取得までは達成できている。しかしながら、質量分析によるタンパク同定については質量分析の系の確立まではおこなうことができているものの精製で取得された因子の同定までには至っていない。そのため、当年度の達成度についてはやや遅れていると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
精製で取得したC/EBPa相互作用因子の質量分析によるタンパク質同定を最優先でおこなう。続いて同定した因子から中心に解析をおこなっていく因子を、C/EBPa転写活性に与える影響やクロマチン構造調節活性(ヒストン修飾活性やクロマチンリモデリングなど)をもつドメインを有するかどうかによって選択する。 選択した因子の機能解析を介してヒストン修飾制御など周囲のクロマチン構造調節を介したC/EBPaの転写分子メカニズムを明らかにする。また、同定したC/EBPa転写共役因子が血球細胞分化におけるとりわけ顆粒球、単球分化に重要、必須であるかを培養細胞レベルで検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画では当年度中にC/EBPa相互作用因子を同定し、その中から今後の機能解析をおこなう因子の選定までをおこなう予定であったが、因子の選定までは進捗しなかったために因子の選定の実験に必要な試薬などの購入を持ち越したために次年度の研究費の必要性が生じた。したがって次年度の研究費は質量分析により同定したC/EBPa相互作用因子の選択のための実験の試薬に使用する予定である。 同定因子の選択にはその因子のC/EBPa転写活性への影響の評価を考えているが、その実験系であるルシフェラーゼアッセイに必要な試薬やプラスミドに使用する予定である。また同定因子の機能解析には免疫沈降やChIPアッセイを考えているため、因子に対する抗体が必須であり、抗体の購入にも使用する予定である。
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