2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規高マンノース結合性レクチンによる抗ウイルス、抗菌、抗腫瘍活性の分子機構の解明
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24790101
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一郎 安田女子大学, 薬学部, 講師 (60416427)
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Keywords | レクチン / 高マンノース糖鎖 / インテグリン / EGFR / オートファジー / 抗ウイルス活性 / 抗がん活性 |
Research Abstract |
本年度は、細菌由来レクチン(PFL)を大腸菌で発現させたリコンビナントレクチンを用いて、抗がん活性の分子機序について検討した。先に、PFLにより誘導されるがん細胞死には、PFLがインテグリンα2に高マンノース型糖鎖を介して結合することをトリガーとした細胞接着障害が関与することを明らかにしている。PFL処理による胃がん由来MKN28細胞の細胞外マトリックス(ECM)結合性を調べたところ、コラーゲンIおよびIVなどに対する結合性の喪失が確認された。また、 PFLと結合するMKN28細胞表面レセプター分子として新たにEGFレセプター(EGFR)を同定した。EGFRは、インテグリンα2と同様にPFL処理により細胞表面から細胞内へと局在変化を起こすこと、さらには内在化されたEGFRは、時間経過とともにタンパク質レベルが減少することが明らかとなった。また、PFL 処理MKN28細胞においてBeclin-1、Atg3、Atg5、Atg9、Atg12、LC3IIなどのオートファジー関連因子の発現が経時的に増加したことより、インテグリン/EGFRの内在化により、オートファジー系が活性化されることがわかった。DNAマイクロアレイによりPFL処理MKN28細胞における遺伝子発現変動を調べたところ、オートファジー関連遺伝子の発現亢進が確認された。さらに、PFL処理MKN28細胞においては、ゲフィチニブのようなEGFR分子標的薬を始めとする抗がん剤に対する感受性が高くなることがわかった。したがって、PFLおよび分子標的薬を併用することにより、抗がん作用の相乗効果ならびに副作用の軽減が期待される。PFLをin vivoにおいて皮下腫瘍マウスモデルに直接投与したところ、腫瘍増殖が有意に抑制されたことから、本レクチンの抗がん剤あるいは抗がん剤アジュバントとしての潜在的な有用性が示された。
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